顔の半分に及ぶアザ、いじめ… 絶望の日々から“幸せとお金”を掴み取るまでのストーリー

暮らし

2019/4/26

『私の人生を変えた顔』(井伏香保里/幻冬舎)

「香の里(こうのさと)」というスナックを経営するママがいる。井伏香保里(いぶし・かおり)さんだ。彼女は小さい頃から顔に青アザがあった。しかもそれは成長につれてどんどん幅広く、濃くなり、なんと顔の半分の大きさになってしまい、耳にまでアザが浮き出ていた。長いときを経て彼女はアザの治療に臨むことになるが、それまでの人生、そして、それ以降の人生は決して楽なものではなかった。

 彼女は自身の生き方をこう振り返る。

「私は生まれた時から、人と違っていました。その事により、人一倍苦しみ、悩み、普通の女の子がしてきた生活を送ってくる事が出来ませんでした。だからこそ厳しさもありますが、人の痛みも分かります。そんな経験から、自分で切り開き掴み取り人生を変えてこれました」

『私の人生を変えた顔』(井伏香保里/幻冬舎)は、そんな壮絶な半生を彼女自身が書き下ろしたエッセイ。アザの治療に踏み切ったことで運命が変わり、幸せとお金を掴み取った著者のリアルストーリーだ。

 著者は顔の半分を覆うアザのために、学校生活に難儀を感じていた。中学校では化粧で必死に隠し、人の目を気にして疲れ、自信も失い、夜に出歩きやんちゃなことを繰り返していた。高校に入ってからも、化粧が落ちるのを嫌い水泳の授業をずっとサボるなどし、上級生にいびられ、学校へ通うのがイヤになり、また悪い付き合いにハマっていった。高校はそのまま中退となり、以降は水商売の道へ入った。

 その後長い年月をかけて、紆余曲折の後に、著者はアザを全てキレイに治療することに成功する。最初と2度目の治療をした当時は保険がきかず、治療費はとても高額だった。また、地方から都会の有名な病院に行くには飛行機で通う必要があり、治療のあとには皮膚を休ませる期間を作らなくてはならない。

 著者のアザは状態がひどいために、年月をかけて何度も病院に通う必要があった。その費用のために、仕事に熱を入れるようになる。著者が仕事で大切にしたもの、それは「信頼」である。水商売のお店を「色恋だけでは絶対、続けるのは難しいです」と著者は断言する。色恋ではなく「心と心」で信頼関係を築いていき、接客で楽しませ、客を掴んでいくという。そのためにはどんなときでも諦めず、努力を積み重ねていくことだ。

 著者は最後にこう語る。

「皆それぞれが幸せになる権利があります。思い悩んだ時には、この先の人生を描いてほしいと思います。そこにはきっと幸せがあると信じています。それは自分次第です。その先の幸せを見つめて、勇気を出して進んでいってほしいです。そうすれば人生は変えられるかもしれません。全ての結果は自分次第です。自分でどうにも変えていけるのです」

 顔の大きなアザのせいで自信が持てなかった著者。しかし、そんな人生を自分で切り開いてきたガッツがそこにはある。著者は、それまで隠していた自分の過去を本書で打ち明けることで、同じ境遇で苦しむ人たちが人生を変えるきっかけを作りたいという。運命は自分の手で変えられる。本書はそんな、コンプレックスに悩む女性たちに力強いエールを送る1冊である。

文=ジョセート