社会人は存在そのものがプレゼンテーション!さりげないアピり方でできる人になるための本

ビジネス

2019/4/18

『プレゼン・コンシェルジュが教える 社会人1年目の「アピり方」』(天野暢子/CCCメディアハウス)

 4月になり、新社会人になったという人が多い春。社会人になると付き合う人の年齢層やタイプが一気に広がります。人間関係は仕事それ自体よりも複雑で、人によってはストレスを抱えてしまうこともあるかもしれません。そんなときに役立つのが、マナーです。マナーは新人研修に組み込まれている職場が多いため、特にその必要性について考えたことがある人はいないのではないでしょうか。「社会人として当たり前のこと」と思っている人も多いかもしれません。ところが、マナーには実利的な側面があります。

 それは、誰とでも一定の距離を保ちながら不要な摩擦を避けてうまく付き合っていくための世渡りツールという面です。マナーは「相手のために」という側面で語られることが多いものです。けれども、マナーは相手だけでなく自分にとって役立つものであることをもっと私たちは認識するべきでしょう。社会生活をスムーズに運んでくれるので、仕事にも良い影響をもたらしてくれます。そう考えれば、マナーを身につけることの重要性が納得できるのではないでしょうか。

 マナーを身につける必要性に疑問に感じている新社会人におすすめしたいのが『プレゼン・コンシェルジュが教える 社会人1年目の「アピり方」』(天野暢子/CCCメディアハウス)です。本書のスタンスは、マナーの一歩先の行動によって自分をさりげなくアピールすること。言葉と行動のプラスアルファで周囲から一目置かれる存在になるための土台として、マナーは存在しています。

 そしてマナーとセットでさりげないアピールを続けていくと、いつの間にか仕事が集まってきます。「その仕事をこなすことで、本当に仕事ができるようになる」というのが著者の主張です。

 本書には、そうしたマナープラスアルファが89個収められています。なかでも印象に残った部分をいくつか紹介しましょう。社会人たるもの、いつ、どんなときでも仕事中は良い表情を心がけるようにと言われることが多いでしょう。その目的は、良い表情を心がけることで相手に良い印象を持ってもらうため、というのが一般的な説明ではないでしょうか。本書ではもう一歩進んだ解説がされています。

 それは、コミュニケーションが円滑になると多くの人に声をかけてもらいやすくなるため、さまざまな方向から良い情報も悪い情報も入ってきやすくなる、というものです。仕事は人が運んでくるといわれています。情報をたくさん得られる人になれば、それだけ仕事の幅を広げることにもつながるでしょう。

 もう1つは、敬語の使い方に関する項です。敬語はマナーの基本中の基本でありながら、その使い方が難しいといわれています。敬語を使う目的は、目下の者が目上の者を敬うためと、ほとんどの人が思っているのではないでしょうか。実際、世の中には年齢や肩書、取引先などの上下関係によって言葉遣いや態度を変える人がいます。ところが、本来敬語を使うべきかどうかは、上下関係によって決まるものではないはずです。

 丁寧な対応をされて嫌な気持ちになる人はいません。「さまざまな立場の人から愛され、応援してもらえることは仕事でも必ず役に立ちます。そのために特別なことをする必要はなく、どういう立場の方にも同じ態度で敬意を持って接する」ことが大切、と著者はいいます。

 一方で、本書のマナーへの考え方はやや保守的という印象も拭えません。例えば、連絡のプライオリティを郵便、電話、メール、SNSの順としているところです。職種や人によっては、郵便や電話よりもメールやSNSでのやりとりが好まれることがあるし、コストや時間のかかるアナログな連絡手段はすでに前時代的なものになりつつあるからです。ただし、一般的なマナーの基本を知ることは大切ですし、そのときどきの必要に応じて変化させていく柔軟性も必要になるでしょう。

 新社会人だけでなく、マナーの目的を知りたい人にも本書をおすすめできます。

文=いづつえり