発達障害の人の就職をどうサポートすればいい? イラスト解説で働きづらさの解決策を紹介

暮らし

2019/4/22

『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』(梅永雄二:監修/講談社)

 近年、発達障害への理解は広まりつつある。だが、発達障害の人を取り囲む世界はまだまだ厳しい。そのため、円滑な人間関係を育むことが難しく、職場を退職してしまうという発達障害の人も少なくない。個人として知識や技術を持ち合わせていても、職場に定着できないというのは、発達障害の人にとって大きな悩みとなる。

 そこで、年々広がりを見せているのが発達障害の人への就労支援だ。就労支援はこれまでにも地域障害者職業センターなどの公的機関を中心に行われてきたが、近年ではそれに加えて、民間の就労移行支援事業も急増している。日本全国で長期的な就労支援が受けやすくなってきたのだ。『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』(梅永雄二:監修/講談社)は、そういった就労支援の全体像やポイントを分かりやすくまとめた1冊。発達障害の人だけでなく、身近な家族や受け入れる企業側にとっても有益な内容となっている。

■働きづらさは“就労支援”で解決できる!

 ひとりきりで頑張らなくても、大丈夫。――就労支援にはそんなメッセージが込められており、各種機関がさまざまな支援を行っている。就労支援は機関によって内容や期間、費用などが異なるが、発達障害の人だけでなく、企業側もまた支援を受けられるのがポイントだ。

 本書には、当事者や企業が受けられる3つの就労支援を紹介している。「就職」「職場定着」「生活面の見直し」というように、段階ごとで受けられる就労支援について詳しく知ることができる構成だ。

 例えば、発達障害の人にとって最初の難関となる就職時は、まず得手不得手を理解するために、本人と支援者が「ジョブマッチング」を考えながらその人にとっての適職を探していくことが大切。適職は自身の発達障害の特性によっても変わってくるので、そちらも参考にしてみるとよいそうだ。

 また、支援機関に相談することを通じて自己理解が
深まれば、やりたい仕事や向いている仕事はより見つかりやすくなる。

 そして、支援者との相談を行ったり適性検査を受けたりした後は、支援機関に通ってオフィスワークやグループワークなどの各種活動にも参加してみよう。こうした活動に参加することで個人のスキルが磨かれ、自分自身の適職も分かるようになるのだ。

 なお、就労支援を受けるときに就労移行支援の利用を申請すれば、支援機関に週5日間通い、午前から午後までの各種活動に参加することもできるので、体調や状態を見極めながら有効活用していきたい。

 発達障害による苦しみや生きづらさはひとりきりで抱え込まず、誰かの手を借りながら軽減させていくことが大切なのだ。

■家族は生活面の支援を

 就労支援は主に当事者や企業を対象にしているため、見守る家族が「自分にも何かできないだろうか…」と歯がゆくなってしまうこともあるかもしれない。そんなときは、仕事が長続きするように生活環境を整える手伝いをしていくとよいだろう。なぜなら、社会人として基本的な生活習慣が身についていなかったり、それを継続できなかったりすると、せっかく得た職場で働き続けることが困難になる恐れがあるからだ。

 生活環境を整えるには、持ち物や服装について気をつかってあげたり、生活リズムの調節などをアドバイスしていこう。もし問題が見られるときには、本書にあげた例のようにシート形式でまとめられた課題や目標を意識できるようにサポートしていきたい。

 シートには、本人が困っていることや、企業からの要望を取り込んでいく。課題を整理して、家族で協力しながら目標を達成できるように取り組んでいこう。

 イラストを用いながら就職活動や生活面での就労支援を分かりやすく解説する本書は、働きづらさを抱えている発達障害の当事者や周囲の人びとも救ってくれる1冊。就労支援を知るための第一歩として、ぜひ手にしてほしい。

文=古川諭香