その言い方、あなたの印象を下げてしまうかも…。正しい伝え方で信頼関係を築こう!

ビジネス

2019/5/16

『コミュニケーション大百科』(戸田久実/かんき出版)

 仕事においてコミュニケーションは欠かせない。会社ではさまざまな立場・年齢の人が働いており、考え方も十人十色だ。そのような環境の中で、相手の気分を害することなく自分の意見を伝えるのは簡単ではない。その際に重要なのは、何を伝えるかということよりも、どう伝えるかということだろう。同じ内容を意味する言葉でも、伝え方によって印象は大きく異なるからだ。言い方が悪いと相手を怒らせてしまうこともあり、人間関係にも大きな影響を及ぼす。そこで、上手なコミュニケーション方法を学びたい人におすすめなのが『コミュニケーション大百科』(戸田久実/かんき出版)だ。

 著者の戸田久実氏は一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の理事を務めており、これまで22万人もの人にコミュニケーション指導を行っている。『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』(戸田久実/かんき出版)の著者としても知られる人物だ(本書著者紹介より)。

 本書は、シチュエーションを「伝える」・「聴く」・「質問する」・「切り出す、切り返す」・「大勢の前で話す」・「仕事以外で会話する」の6つに分け、自分の気持ちを適切に表現するための101のメソッドと343のフレーズを掲載。NGなフレーズ例や図解も載っているので、伝え方のポイントがより理解しやすくなっている。また、仕事とプライベートで使える「とっさのときのフレーズ集」も紹介されており、会話の中ですぐに実践できるところも魅力だ。

 ここで、本書に掲載されている例を少しだけ紹介しよう。コミュニケーションにおいて難しいのは、思っていることをそのまま言うと相手を傷つけてしまう可能性があり、かといって遠回しに表現すると言いたいことが伝わらない可能性があるということだ。例えば、NO残業DAYなのに夜遅くまで仕事をしている部下に注意したいとき。次のような言い方をしたとしよう。

「毎日かなり仕事を抱えているみたいで大変そうね。残業も多いようだし、ワークライフバランスも考えなければいけないと思って。もしよかったら相談してね」

 このような言い方では、残業せずに帰ってほしいという内容が伝わらず、ただ心配されているだけだと受け取られてしまう可能性がある。そのため、以下のような言い方が適切だ。

「毎日かなり仕事を抱えているみたいね。いつもありがとう。残業も多いみたいだけれど、NO残業DAYは残業せずに定時退社してもらえないかしら。もし終わらないような状況であれば、仕事の量を調整しましょう」

 戸田久実氏によれば、相手に自分の言いたいことをきちんと伝えるためには、まず言いたいことの「核」を明確にすることが大切だという。最初にこの「核」を伝えたうえで、それができない場合の代替案を付け足すとさらに良いそうだ。

 また、仕事で関わる人の中には、なかなか信用できない相手もいるだろう。これまでに何回も約束を破られた経験があれば、今回もそうなるのではと疑いたくなる。しかしそのような場合でも、疑いの気持ちを表に出してはいけない。例えば、以下のような言い方に要注意。

「まさか、納期が遅れるなんて言い出さないでしょうね?」

 ついつい言ってしまいがちなセリフだが、このような言い方をしてしまうと相手を不快にさせ、関係が悪くなるばかりだ。念押ししたいときには次のような言い方をすると良い。

「納期は守っていただきたいので、期日前に仕上げていただくようお願いいたします」

「お願いします」という言い方で念押しすることと、重要なことだと伝わるような言い方をすることがポイントだ。本書にはこれら以外にもまだまだたくさんの例が掲載されているので、興味が出てきた人はぜひ読んでみてほしい。

 コミュニケーションは人間関係の鍵を握っている。本書を通じて正しい伝え方のコツをつかめば、周囲の人と信頼関係を築くことができ、仕事も円滑に進むだろう。言葉の選び方に苦手意識のある人や、立場が異なる人とのコミュニケーションが苦手な人、周囲の人と良好な人間関係を築きたい人におすすめの本だ。

文=かなづち