コース料理もできる! 栄養の宝庫・アボカドを使った目からウロコのレシピ集

食・料理

更新日:2019/5/22

『アボカドLOVERSレシピ』(ei cooking編集部/エイ出版社)

 栄養価が高く、カットしてそのまま食べられるという手軽さが魅力のアボカド。しかし、なるべく食べる機会を増やしたいが料理のレパートリーが少ないと思っている人は多いのではないだろうか。毎回サラダに添えるか、まぐろ丼に添える程度で、あとはせいぜいメキシコ料理店に行ったときにディップを味わうくらい。世間ではもっと違った食べ方もあるのだろうか、と疑問を持っていたところで見つけたのが『アボカドLOVERSレシピ』(ei cooking編集部/エイ出版社)だ。

 アボカドには、不飽和脂肪酸、リノール酸、オレイン酸、そしてビタミンCやビタミンE、ビタミンB群が豊富に含まれている。リノール酸やオレイン酸はコレステロール値を下げてくれる働きがあり、不飽和脂肪酸は血液をさらさらにしてくれる効果が期待できる。美肌に効果的と言われるビタミンも豊富であり、美容と健康によい食べ物であることは容易にわかる。

 生食以外にアボカドの食べ方を心得ていない筆者だったが、本書は目からウロコだった。アボカドのフリットにコロッケ、グラタンと、加熱料理のなんと多いことか。そのどの作り方を見ても面倒な印象がないところがまた、よい。例えば「焼きカレー」ではこんな感じだ。

1、アボカドはスプーンで果肉を1cmほど残してすくい取り、1cm角に切ってカレーと混ぜる。

2、アボカドに1のカレーを入れ、くぼみを作ってうずらの卵を割り落とす。粉チーズをかけ、210度に温めたオーブンで約10分焼く。

 と、たったこれだけ。「えっ! これだけでいいの?」と思ってしまう。しかも、使用するカレーは前日の残りなどでもよく、残り物をさらに美味しく変身させることができる。もちろん、レトルトカレーを使ってもOKだ。

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 サラダなど、アボカドの王道とも言うべきレシピもあるが、使用するドレッシングは市販のものでかまわない。もちろん、ドレッシングやソースから作りたい人は作ればいいので、自分なりにアレンジした料理も楽しめる。

 すべてが簡単なレシピばかりではないが、和えるだけや、アボカドを器のように使うというレシピは多い。作り手の時間的な余裕や好みに応じて使い分けできるのもこの本のよいところだと思う。

 個人的に面白いと感じたレシピは「ピリ辛アボカド麻婆豆腐」「アボカドの豆腐」、そして「アボカドコロッケ」だ。アボカドはソフトな食感とまろやかな味わいで辛さをほどよく抑えるという使い方もできる。同じような使い方ができるのは「アボカドのレッドカレー」で、レッドカレーやグリーンカレーは好きだが辛いものが苦手という人にはおすすめではないだろうか。

「アボカドの豆腐」は生クリームと豆乳を使うレシピで、実際にはデザートに近い。だが、薬味やしょう油で食すという不思議な味わいだ。「アボカドのコロッケ」は、じゃがいもとアボカドを混ぜることでほどよい固さを維持できる。コロッケ作りが苦手な人にも、ぜひ挑戦してほしいレシピである。

 さらに、本書ではご飯のおかずやワンプレートのレシピが多い中、「アボカドマフィン」や「アボカドアイスクリーム」、「アボカドブリュレ」などスイーツも充実している。しかも、「アボカドのホイップどら焼き」に「アボカド白玉」と和スイーツまで網羅しているという徹底ぶりだ。もちろん、スープやドリンクもそろっていることは言うまでもない。

 これはつまり、アボカドだけでフルコースも可能で、アボカドパーティーを開催しても十分レパートリーに困らない勢いなのだ。アボカドがとにかく好き、または健康や美容のために毎日でもアボカドを食べたいという人は、ぜひ本書を参考にアボカド生活を始めてみてはいかがだろう。

文=いしい