いつも上司が怒るのはなぜ? 自分を責めずに“理不尽”から身を守る立ち回り術

ビジネス

公開日:2019/5/20

怒る上司のトリセツ

著:
出版社:
時事通信社
発売日:
『怒る上司のトリセツ』(宮本剛志/時事通信社)
『怒る上司のトリセツ』(宮本剛志/時事通信社)

 仕事の8割は“理不尽”で成り立っている…というのは、筆者の勝手な見解であるのだが、共感してくれる読者もいると信じたい。さて、理不尽とひとくちに言っても状況はさまざま考えられるが、その1つとして“何をしても怒る上司がいる”というのも想像される。

 どんなときでも自分に対してムスッとしていて、こっちに非がないのに当てつけるかのように“粗探し”される毎日に辟易している人もいることだろう。そんな人たちに読んでもらいたいのが、タイトルずばりの『怒る上司のトリセツ』(宮本剛志/時事通信社)だ。

 理不尽な怒りに「あなたが悩み、苦しむ必要はありません」と察してくれる産業カウンセラーの著者が、アンガーマネジメントの理論をもとに日常のさまざまな場面を解説してくれる。

■怒りっぽい人の3パターン。必ずしも自分に非があるわけではない

 上司から怒りをぶつけられたとしても、ふたを開けてみれば必ずしも原因があなたにあるわけではない。職場で怒りっぽい人には、以下のような3パターンの傾向があると本書は示す。

1)「強い信念がある」タイプ
 自他ともに「仕事ができる」とみられる人に多いケース。何でも自分でこなし、叩き上げでやってきたという自負もある。そのため、他人にも自分が味わってきたような苦労や努力を求めてしまい「そんなこともできないのか」「自分で考えろ」「皆そこからはい上がってきたんだぞ」など、説明なしの怒りをぶつけてしまう。

2)「ストレス抱え込み」タイプ
 著者の経験からすると、この手のタイプは家族や親族に関するプライベートの悩みを抱えている場合が多いという。掘り下げてみると、夫婦関係、親の介護、子どもの教育費、家のローンなど理由はさまざま。当て付けられた方からすれば「家庭の問題を仕事に持ち込まないで」「それを他人にぶつけないで」と思いたいが、何にせよ日頃のうっぷんを職場で発散してしまう。

3)「好き嫌いで決める」タイプ
 周囲を振り回していることに、自分で気付いていないタイプ。相手の話し方や受け答え方などがそもそも気にくわないので、理由を説明することもなくとにかく怒りをまき散らす。自分にとっての「好き嫌い」が評価の基準なので、相手によってはコロッと態度を変える場合もある。

 これらはあくまでも“傾向として”という話であるが、いずれにせよ怒られているからといって、自分だけに“非がある”わけではないというのを理解しておこう。

■自分のための防御策“怒られやすい人”の傾向も理解する

 怒りっぽい人の傾向がある一方で、怒られやすい人にも傾向があると本書は指摘している。著者は経験から、以下の4パターンを示している。

1)はっきりしゃべらない
 怒りっぽい人は、理屈の筋が通っているかどうかではなく、表面的に白黒はっきりしているかどうかにこだわる傾向がある。そのため、語尾があやふやであったり回答が曖昧であったりすると、どんなに正論を投げかけても「だから何なんだ!」と思われてしまう。

2)相手に常にボールを渡しがち
 相手から何か問いかけられたときに「こういう意見もあるし、こうした意見もありますよね」と一般論や状況だけを返してしまう、もしくは「どうすればよいでしょうか」と回答を濁してしまう人にみられるタイプ。判断を相手にゆだねてしまうため、何も考えていないとイライラさせてしまう。

3)話が長い
 誤解されるのを避けるがあまり、一から十まできっちりと説明をして話が長くなってしまうタイプ。しびれを切らした相手から「で、結論は?」と返されても、さらにくどくど説明してしまい、話が進まないことから次第に怒りを誘発してしまう。

4)自信のなさが表情や態度に出てしまっている
 自分から声をかけたり、挨拶をするのが苦手である人があてはまる。本人はそれでも必死になっているのだが、おどおどしている表情や態度が相手からは反発していると捉えられてしまい、ひいては「注意や指導をしてやらねばならない」と思わせてしまう。

 あくまでも前提にあるのは、怒りっぽい人は“自分の事情をこちら側にぶつけている”可能性もあるということ。そのため、これらの傾向は自分を守るための対策として、心に留めておくべきだろう。

■上司の怒りは自分の“思い違い”であることも

 産業カウンセラーである著者のもとには、上司の理不尽な怒りから身を守れず「気づいたらボーッとしていて、何もできない」という相談も少なからず寄せられるそうだ。果てはメンタルがやられて、職場へ行けなくなるなどの弊害が生まれる可能性もあるが、じつは物事を深く考え過ぎたがゆえの“思い違い”のケースもある。

 本書によれば、この手の思い違いは「認知のクセ」と呼ばれる。現実を重く受け止めすぎるがあまりよけいな不安を抱えてしまう現象で、社会経験の少ない人や考え方が生真面目な人、失敗経験の少ない「できる」人に多いという。

 例えば、上司に「おはようございます」と挨拶したところ、たまたま素通りされてしまった場合。本来であれば、上司は時間がなかったのかもしれないし、たまたま聞こえなかっただけかもしれないが、認知のクセが抜けない人は、過去の失敗などを勝手に振り返ってしまい「怒られている」と解釈してしまうケースもあるそうだ。

 では、どのように対策すればよいのか。本書がすすめるのは、相手の行動を受けたらいったん立ち止まり、自分の中で分析してみるという方法だ。ふと冷静になり考えてみれば「急いでいたのかな?」「聞こえなかったのかな?」と、さまざまな可能性を思い浮かべることができる。頭の中で“もう一人の自分”を思い浮かべて、客観的に判断するのが肝心だ。

 新社会人や転職者など、この時期はまだまだ慣れない環境での人間関係に四苦八苦している人たちも少なくないだろう。今置かれた場になじむというのも必要だが、理不尽な怒りに心を痛めてばかりでは、せっかくの仕事にも打ち込めなくなってしまうだろう。あくまでも“自分を守る”という意識を大切に、毎日の業務へ邁進してもらいたい。

文=カネコシュウヘイ

この記事で紹介した書籍ほか

怒る上司のトリセツ

著:
出版社:
時事通信社
発売日:
ISBN:
9784788715929