「防ぎようがなかった」を減らしたい! 凶悪犯から家族を守る実際的護身術

暮らし

2019/6/7

『間接護身入門』(葛西眞彦/日貿出版社)

 川崎で通り魔事件が起きたばかりですが、子どもや病人、老人といった弱い存在を狙う無差別殺人事件は残念なことに絶えることがありません。そんな状況下にあって、自らはもちろん、家族や大切な存在を守りたいと思い「護身術を身につけよう」と考える人も多いことでしょう。しかし、その護身術が逆に人生を台無しにしてしまうこともあるといいます。

 護身術というと、襲ってきた相手を制圧し撃退するというイメージが強いですが、そういった従来の護身術を「直接護身」と定義し、そこに潜む危険性について警鐘を鳴らし、もっとリアルで実践的な「間接護身」について紹介してくれるのが、『間接護身入門』(葛西眞彦/日貿出版社)です。

■暴漢を倒そうとして自分が訴えられることも――

 著者は、自身が警察官として危険な現場を何度も体験してきた過去から、一般的な護身術、いわゆる直接護身を活用することがいかに難しいか、また活用できたとしても、相手を傷つけてしまうと反対に法的な裁きを受ける可能性も高いという説明を展開します。

 また、直接護身を活用できるようになるには長い訓練が必要です。「ではどうやって身を守ったらいいんだ!?」と悩む私たちに、著者が提唱するのが“間接護身”です。

 間接護身とは、暴力に対して力で対抗するのではなく、暴力や危険を前もって察知し、そういった危機に関わらなくて済むようにする方法。そして、具体的にはどうしたらいいのかということについても、本書では丁寧に解説されています。

■凶悪犯を倒す腕力ではなく、危機察知力を磨くテクニック

 例えば、人の口癖や身なりを見極めることもそのひとつ。市街地を歩いているときに、「肩が上がっている」「服のポケットに何か物を多く詰め込んでいる」「酔ったような動きをしている」といった人物がいたら、気をつけて距離を置くというものです。

 文章化すると「当たり前」のように感じる部分もあるかもしれませんが、実はこういった違和感を鋭敏に察知するためには、日頃から自分自身の感覚を研ぎ澄ませておく必要があります。歩きスマホをしたり、ヘッドフォンで音楽を聞いて周囲の音から自分を遮断してしまっていたりすると、そういった危機につながる違和感を察知できなくなってしまうわけです。

 間接護身に必須ともいえる“違和感を察知する能力”は、腕力や技術、体力が必須となる直接護身に比べると、誰もが身につけやすいものです。地味かもしれませんが日頃からの注意深い心がけが大切になるもので、これらをしっかりと押さえることで、現実的な危険から逃れる確率は上がることでしょう。

 他にも本書では、正しい逃げ方や、あまり知られていない証拠保全の方法、さらにはお詫びすることのメリットや人の嘘の見破り方など、誰もが対人関係で使える危機回避のノウハウが多数紹介されています。凶悪な事件が多い現代だからこそ、多くの人が知見として得ておきたいテクニックだといえるでしょう。

文=龍音堂