なんでもグーグル先生が教えてくれると思ってない? この世はまだまだ未解明の謎にあふれていた!

文芸・カルチャー

2019/6/18

『未解明の不思議』(神岡真司/ワニブックス)

 知りたいことをインターネットで検索すればなんでも出てくる現代社会。科学技術が発達し、大抵のことは解明されているように思うかもしれない。しかし世の中には、とっくにわかっているように思えて実は解明されていないことがたくさんあるのだ。インターネットを通して新しい知識を身につけることも大切だが、たまにはまだ明らかになっていないことについても目を向け、それらの謎について少し考えてみてはどうだろうか。『未解明の不思議』(神岡真司/ワニブックス)には、そんな事柄が100個紹介されている。

 本書で取り上げられている未解明の分野は幅広い。第1章では「人間の不思議」がテーマ。人間の感情や能力など、根本的な事柄が紹介されている。第2章は「宇宙の不思議」だ。現代社会で未解明なことといわれたとき、多くの人が思い浮かべるのが宇宙にまつわることではないだろうか。宇宙についての研究は日々進んでいるものの、未だ謎ばかりのジャンルだ。第3章は「生物の不思議」。動物や植物、細胞についてもわからないことは多い。

 第1章~第3章は科学的な事柄が中心だが、第4章・第5章では少し観点が変わり、社会的な事柄が中心になっている。第4章のテーマは「日常生活の不思議」だ。日常生活の中には、よく考えると実はよくわからないことがたくさん隠れていた。そして最後の第5章は「世の中の不思議」とされており、政治経済や社会制度などのはっきりしない事柄について、著者が問いを投げかける章になっている。

 本書を読むと、なんとなく解明されているだろうと思っていたことの多さに驚かされる。例えば、「日本人はどこから来たのか?」という謎。日本人の祖先がどうやって海を越えて日本列島にやってきたのかは未解明だったのだ。

当時の打製石器では丸木舟を作ることは不可能ですし、斧のような石器も発見されていません。海を渡るため、草を束ねて船を造ったという説もあるものの、謎なのです。

 最初に日本列島にやってきた祖先が子孫を残し、現在まで続いていると考えると、漂着したのではなく、若い男女を少なくとも10人は含んだ集団が、意図的に海を渡ってきたことになる。しかしながら、どうして大きな危険を冒してまで海を渡ってきたのかもわかっていない。

 また、「なぜ渡り鳥は迷わずに目的地に向かえるのか?」という謎も興味深かった。渡り鳥は脂肪を長距離飛行のエネルギー源としていること、群れでV字編隊を組むことで起こる「翼端渦」という気流に乗り、飛行時の負担を軽くしていることはわかっている。その一方で、彼らが迷わず目的地に着ける理由は未解明なのだ。太陽や星の位置を記憶している、時間の経過と地形を関連付けて覚えているなどの説があるそうだが、未だにはっきりした理由はわかっていないらしい。

 このほかにも、「スポーツの世界記録はなぜ更新されるのか?」「なぜ日常生活では色彩による影響を受けてしまうのか?」「なぜ日本の政界には“世襲議員”が多いのか?」など、気になる謎が豊富に紹介されている。

 本書は未解明の事柄をまとめた本なので、これを読んだからといってそれらの謎の答えを知ることができるわけではない。しかし、実はわかっていないことを知ること自体が新しい発見だった。社会の本質について考えるきっかけを与えてくれる謎もあり、わからないことを調べるだけでなく、自分で考えることも大切なのだと本書を通じて改めて実感した。「これってまだわかってなかったの!?」という驚きにも満ちた1冊だ。

文=かなづち