10年経つと変わる恐竜の常識! 最新のトレンドは北海道産の恐竜!?

スポーツ・科学

2019/7/20

『もっと やりすぎ恐竜図鑑』(監修:小林快次、イラスト:川崎悟司/宝島社)

 上野の国立科学博物館で開催される「恐竜博2019」により、恐竜の話題を耳にする機会が増えてきた。平成、令和と時を経ても恐竜は子どもたちに大人気で、小生も幼い頃より繰り返し恐竜図鑑に見入っていたものだ。とはいえ実のところ、相次ぐ新発見に知識が全く追いついてなかったことも事実。『もっと やりすぎ恐竜図鑑』(監修:小林快次、イラスト:川崎悟司/宝島社)には、最新の恐竜情報が盛り沢山。基礎的な情報から学べるので、そもそも「恐竜」とは何かを知りたい人にもオススメだ。また、恐竜図鑑といえば想像図もお馴染み。本書のイラストも実に美麗で大迫力なだけに、それを鑑賞するだけでも充実感を味わえるだろう。

 恐竜といえば、やはりティラノサウルスだ。恐竜の代名詞ともいえ、史上最強の生物とも目される。だが、そのイメージは昭和の頃から平成を経てどんどん変わってきている。昭和の時代には、直立し尻尾は地面に引きずる姿で再現されていた。しかし、現在は尾を胴体と水平に上げ、鳥のように歩く姿が知られている。さらには、羽毛も生えていたのではとの説もあり、全身を羽毛で覆われた想像図もネットで話題だった。

 本書でも羽毛説について解説しているのかと思ったが、想像の先を行く内容に衝撃を受けた。なんと「ウンチ」に着目してティラノサウルスを読み解いているのだ。汚いなどと思ってはいけない。そこから食生活と顎の強さがわかるのだ。長さ44cm、重さ7.1kgに及ぶウンチの化石には、トリケラトプスの骨が混じっており、獲物を骨ごと噛み砕き飲み込んでいたことがわかる。あの巨大な頭の大半を占める口は、やはり伊達じゃなかった。もし現代にいたらきっと象だって平気で噛み砕いてしまうだろう。

 勿論、恐竜はティラノサウルスのような肉食恐竜ばかりではない。植物食恐竜などは、ユニークな顔つきをした種類も多く、特に小生が可愛らしく思っているのがハドロサウルスの仲間。俗にカモノハシ恐竜とも呼ばれ、カモのクチバシのような口を持つことで知られる一群だ。その口で植物をついばみ、すり潰しながら食べていたのではと推測されている。北海道むかわ町で見つかった通称「むかわ竜」もその一種とされる。通称としたのは、まだ種別が特定されていないからだ。

 実はこの「むかわ竜」はかなりの大発見なのだが、何がそうなのか。日本でも昨今、恐竜の化石は続々と発掘されているが、その中でも全長8mに及ぶ、国内最大の全身骨格が発見されたのだ。しかも、陸上生活の恐竜でありながら海だった地層から発見されたというのも面白い。どうやら死後に海へと流れていったようだ。そもそも、これだけの大きさの全身骨格化石が、海の地層から見つかること自体も珍しいことだそう。

 さらに言えば、この「むかわ竜」は新種の可能性が大きいとの報道もあり、このまま学名にも「むかわ」の名が付きそうだ。日本の地名が付いた恐竜といえば、「恐竜王国」とも呼ばれる福井県の「フクイラプトル」や「フクイサウルス」が知られ、地元を大いに盛り上げている。「むかわ竜」が発見されたむかわ町でも街の活性化が期待されており、同町の道の駅「四季の館」では6月の末に全身骨格レプリカが展示され、大盛況だった。

 こうして久しぶりに恐竜図鑑を読んでみたが、その存在すら知らなかった恐竜たちに出会えた。その研究は新発見が相次ぎ、10年前の知識では追いつけなくなる。逆に言えば未知の恐竜を知るチャンスでもある。この夏は本書を片手に化石の展示会を巡り、昔のように新しい出会いに胸を膨らませてみてはいかがだろうか。

文=犬山しんのすけ