一家心中があった4DKに家族全員で暮らしてみた。身の毛もよだつ幽霊マンションの体験実録!

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更新日:2019/7/22

■階下の住人が聞いた“ドンドンドン”という不可解な音

 豊島マンション205号室へ1年3カ月にわたって住んだのち、2軒目に選ばれたのは一家心中があったという春日部コート508号室だった。かつては一人暮らしであったが、その道中で結婚し、一人娘を授かった著者。愛すべき家族と一緒に、たびたびいくつかの奇怪な現象に出くわした。

 引っ越してから数カ月後。会社へ向かおうとドアを開けた著者の足元に、1枚の紙キレが落ちた。そこに書かれていたのは「いつも足音がひびいて困ります。少し、気付かって(原文ママ)歩いて下さい」の一文。部屋番号も書かれておらず不可解に思った著者に対して、妻は「下の階の人じゃない? ちょっと前に引っ越してきた」と言った。

 しかし、どれだけ考えても騒音について思い当たる節はない。内心、腹立たしく思った著者はその足ですぐ真下の部屋へと向かった。

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 チャイムを鳴らしたのち、軽く自己紹介を済ませて「こんなモノが挟まってたんだけど、お宅ですか?」と単刀直入に著者は尋ねた。「ああ、そう、そうなんですよ」と返してきた階下の住人。思い当たる節がないことを伝えても、さらにその住人は「でもときどきお子さんが走り回ってるでしょ?」と続けた。

 じつはこの当時、著者の一人娘は生後4カ月。想像するにたやすいが、その月齢で走り回れるわけがないのだ。もちろん著者もその事情を説明したが、階下の住人はなおも「小走りみたいにドンドンドンって…」と、昼夜問わず音が聞こえると伝えてきたという――。

 本書ではこれらの話を含めて、2軒の幽霊物件についてのエピソードが30編にもわたって収録されている。すべての原因がそこへ住み憑く“何か”のせいではないのかもしれない。しかしながら、自分の住んでいる物件もひょっとして…と思いながら読み進めてみると、鳥肌が立ってくる1冊である。

文=カネコシュウヘイ