「なんで片づけないの!」と怒る前に… ママの怒りがおさまり、子どもにうまく伝わる言葉【やってみた】

出産・子育て

公開日:2019/8/5

『怒らずのばす育て方』(篠真希/池田書店)

 産まれた瞬間はあまりの可愛さに、「怒る親の気持ちがわからない」と思っていたはずなのに、いざ子どもが成長してだんだんコミュニケーションが取れるようになってくると、ほぼ毎日何かしらのことで怒ってしまいます。あの時の気持ちはなんだったのか…。でもこれは何も我が家に限ったことではなく、どの家庭でも起こっていることで、親も人間だから仕方ないことかもしれません。

『怒らずのばす育て方』(篠真希/池田書店)には、つい親が怒ってしまう48の場面ごとに、子どもの成長に合わせた効果的な言葉が具体的に紹介されています。また子どもへの言葉かけと同時に、親が自分のイライラにのまれてしまわず、自分の感情をコントロールする術も教えてくれるので、怒りにくい自分になることも可能です。いつも怒ってしまったあとに「また怒ってしまった」と反省しているママのために、2つの具体的な場面での言葉かけを紹介します。

1、ママのイライラランキング1位「片づけをしない」ときの言葉かけ(P.84)

 子どもってよくそのスペースで遊べるなぁと思ってしまうくらい、おもちゃで散らかったところでも夢中で遊んでいますよね。でもその遊んだものを片づけるのは本当に苦手…。その度に「なんで片づけないの!」「いつもママが片づけてるじゃないの!」とガミガミ怒ってしまっていませんか? 実際、ママがイライラする場面ランキング1位が「片づけ」についてなんだとか。

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 確かにガミガミ言いたくなるその気持ちはわかるのですが、子どもはできないことを強調して責められると余計に片づけに対して苦手意識が強くなってしまうので、怒り続けることは逆効果につながってしまいます。

 そんなときは「本を棚に戻そうね」と具体的に繰り返し伝えたり、「今日はちゃんとしまえたね」とできた日はきちんとほめるようにしましょう。そうすることで子どもは「自分にもできるんだ」という自信が持て、片づけを楽しいこととして捉えるようになってきます。あとは親が、子ども自身が簡単に片づけられるような収納方法にしてあげることも大切ですよ。実際我が家でも、どれをどこに片づければいいのかわかるように、おもちゃの住所を決めたところ、パズルをはめるような感覚で子ども自身が楽しみながら片づけてくれるようになりました。

2、「身支度が遅い」ときの言葉かけ(P.142)

 自分が子どものときもそうだったので、自分の子どもが朝起きた後ダラダラ過ごしたくなる気持ちもわからなくもないんですが、子どもって朝は特に1つのことをやるまでに時間がかかりますよね。朝食を食べる、歯を磨いて顔を洗って着替えて…と毎日同じことをしているので流れはわかっているはずなのに、いちいち時間がかかり、気が付いたら学校に行く時間に。忙しい朝だからこそちゃっちゃと自分でやってほしいのに。

 そんなとき、ついつい「もう早くして!」「まだ着替えてないの?」と言ってしまっていませんか? でも実際のところ、子どもに目に見えない時間の流れを意識させることはとても難しいことなんです。

 こんなときは、「顔洗ったら着替えて。かばん持ったら靴はいて。」と具体的な指示を出したり、「今日は何時までにできたね。明日はさらに記録更新だ」とできたことを褒めつつ、できたらシールを貼るなどゲーム性を持たせ見える化すると、子どものやる気に火をつけることができます。子どももやらなくてはいけないことを「わかっている」のですが、それがイコール「できる」とは違います。できるようになるまでは、やはり親がカーナビになったつもりで具体的な行動を言うことが大切です。

3、番外編 子どもができる怒りコントロール(P.62)

 上の1,2ではイライラしてしまう子どもの行動に対して伝えたい言葉かけを紹介しましたが、実際は親が怒ると子どもも一緒にイライラしてしまいます。そんなときは例えば親子で手のひらをグーパーしてみましょう。これをすると筋肉をほぐすのと同じ効果があります。

 手のひらの真ん中から、怒りがパーッと抜け出ていく感じをイメージしてやってみてください。イライラするとどうしても体に力が入ってしまいますが、これをすると緊張がほぐれてイライラした気持ちを落ち着かせることができますよ。

 ちなみに親自身の怒りをコントロールするためには、イライラする原因の1つである自分自身が持っている「○○すべき」という感覚から怒りが起こってくることが多いので、許せる範囲を広げつつ、深呼吸をしたり、一度その場を離れることで冷静になる時間を作るようにしましょう。冷静になれば「こんなことで怒らなくてもよかった」と気づけるはずです。

怒りに任せるのではなく、きちんと言葉で具体的に伝え続けることが大切

 子どもが悪いことをしていると、親はついつい手っ取り早く「怒ることでやめさせよう」とします。でもこれはその場ではやめたとしても、子どもはなぜ怒られたのか理解していないので、また同じことをやってしまいます。子どもはやはり大人とは違って、なぜやってはいけないのかについて理解するまでにはまだまだ時間がかかります。

 そんな子どもに理解してもらうためには、親は根気強く「具体的に伝える」「できたらほめる」、これを伝え続けることが大切です。これをやり続けることでようやく子どもが「このときはこうする」ということを理解し、自ら行動できるようになってきます。なんでもそうですが、やはり直接言葉で言わないと子どもでも大人でも伝わらないということですね。

文=JUNKO