え!? これがデビュー作なんですか?…驚愕です

小説・エッセイ

更新日:2013/6/24

塩の街

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:有川浩 価格:712円

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みなさん、お早うございますコンニチハ今晩は。今年のゴールデンウイークの思い出は「塩の街」を読破したこと、中國卓郎です。寂しくなんか微塵もありません。ヘッチャラです! と、それはともかく…

本を読んでいるとたまに「あ、キタな」って瞬間があります。僕の場合それは作品の世界に入り込むキッカケであり、つまりその本に夢中になるスイッチが入ったと感じる瞬間な訳です。そりゃ中には最後まで「来ない」本も多々ありますし、辛うじて最終章で「キタ」ってなスロースターターな本もあり、そんな時は諦めずに読み続けた自分を褒めたりもします。

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さて、では本書「塩の街」はと言うと…初っ端、本文1行目を読んでいたら頭の中から「カチ」って音が聞こえました。「ん? なんだなんだ!?」と思っていたら、それこそがスイッチの入った音でした。いや我が事ながら思いましたよ…「早っ!」って。

一人の男が炎天下、空腹に絶えながら思い荷物を背負って歩き続けている。【目的地は? なんでそんな必至に? その重そうな荷物は何? つ~かそもそも、これ誰よ?】等などさまざまな疑問が一気に浮かぶ。でも思考をゴッソリそっちに持って行かれる事はなく、数々の疑問を取りあえず頭の片隅にそっと置きつつ物語の続きに備えている…と、脳が勝手にそんな動きをしていることを時間差で自覚し驚いた。「おお!? 俺の脳も中々やりおるわ!」と思いましたが「イヤしかし凄いのは俺の脳じゃなく有川さんの文章力じゃないか!」とすぐ気づきました。もうグイグイです! スンゴイ馬力でグイグイとその世界に惹きつけられまくりのズイズイです! ですからつまりグイズイって訳ですけど、グイズイなんて言葉はありませんので余計なことを書いたなぁと反省しました。ですから書く方(ワタシ)も読む方(アナタ様)も、お互い気持ちを切り替えて先へ進めるとしましょう!

世界規模で相当に洒落にならない状況下、まさに文字通り「塩の街」と化した東京から物語は始まります。人類は急激にその数を減らしつつも、それを(ある意味)甘受しかけている世界、何処か退廃的とさえ感じるその世界で登場人物達は、すぐ傍にある「死」と向き合いながら大切な人を強く強く「想う」のです。本文1行目から入った「スイッチ」は途中でオフになることなく入りっぱなしで、それどころか気持ち良い読後感をも置き土産に残してくれました。完璧です…もはや完全犯罪ですミステリーじゃないのに!

ただ強いて言わせて戴きますと…ヒロインがヒロインとして完璧過ぎて僕ぁタイプじゃないっすね…って、ウン本当は解ってる自分が捻くれてるだけなんだ。だから真奈ちゃんは悪くないし彼女を悪く言ったら俺が許さないぜ! とか言っちゃえる位に程よく自分を見失いがちですが、この作品をオススメしたい気持ちがブレる事は断じてございませぬ。いやホント非常に面白い作品ですっ!


一章タイトル。読後の今だと「ああ! そうか…」って思えます

この一行目で突然「スイッチ」が入りました