人気が衰えないサイゼリヤには「あるカラクリ」が! 食のプロも唸った、人気チェーン店の秘密

ビジネス

2019/11/26

『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(稲田俊輔/扶桑社)

 突然だが、あなたはチェーンの飲食店に対して、どんなイメージを抱いているだろうか?
「チェーン店はあまり美味しくない」
「安くて便利だから行くだけ」
と、“安かろう悪かろう”な印象を持っている方もいるかもしれない。行きつけやお気に入りの店を語るときに、チェーン店を誇らしげに挙げる人がほとんどいないのも、そのことを裏付けているように思う。しかし、本当にそうなのだろうか。『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(稲田俊輔/扶桑社)は、そんな問いを投げかける。無意識のうちに抱いているチェーン店の固定イメージを改めたくなるような“美味しい”1冊だ。

 著者の稲田さんは、関東・東海圏内を中心に和食店、ビストロ、インド料理など幅広いジャンルの飲食店を経営しており、円相フードサービスの専務取締役にも就任している、いわば飲食のプロ。筆者は稲田さんが手がけるお店で働いたこともあるが、その際に社員がそれぞれ食に対して熱い思いを持っていることに感動した覚えがある。

 稲田さんは自身を「ジャンルを問わず何にでも食いつく変態料理人」と称し、イナダシュンスケ名義でグルメニュースを執筆したり、SNSで食に関する情報を発信したりしている。それほどまでに食に熱い男が綴った本書には、人気チェーン店の“知られざるヒミツ”と“チェーン店への愛”が込められている。

■「サイゼリヤ」が人気な理由は、「本場嗜好」だから!

「チェーン店は、宝の山」、そう語る稲田さんは、さまざまなチェーン店の“スゴさ”を紹介。中でも驚かされたのは、若い人にも家族連れにも大人気の「サイゼリヤ」のヒミツだ。サイゼリヤが愛され続けている理由は、“原理主義”の考えをメニューに反映させているからだと稲田さんは指摘する。

 ここでいう飲食の世界の原理主義とは、「外国の料理は現地そのままのスタイルや味わいが最もおいしくて価値があり、いたずらに日本人的な嗜好に合わせてアレンジすべきではない」という考え方。チェーン店は一般的にはこの原理主義と折り合いが悪い。消費者がチェーン店に求めるのは「分かりやすさ」「安心感」「気軽さ」だからだ。

 しかし、サイゼリヤは原理主義に果敢に挑戦しているという。他のチェーン店のようにトレンドを取り入れるよりも“本場嗜好”を重視。それはメニューやホームページにもよく表れているそうだ。

 例えば、サイゼリヤで提供されている「プロシュート」。これだけ聞くと「なに?」と思う人もいるかもしれないが、イタリア語の正式な名称だ(メニューブックやHPでは「パルマ産熟成生ハム」という補足が添えられている)。さらにこのプロシュートは、イタリア料理の代表的な食前酒のひとつ「ランブルスコ」とも相性がよいそうだ。

 価格は手ごろでありながら、味も申し分なく、近所のスーパーや大衆的な飲食店で見かける生ハムとは違って、“しっかりとした熟成感と凝縮感”がきちんと楽しめる生ハム。こうした本場嗜好にこだわる粋な演出には、サイゼリヤの“自信”が感じられるという。

 リーズナブルな価格帯におさめるため、すべてのメニューで本場嗜好を追求しているわけではないだろうが、コンセプトの根幹を成し、人々が“食を楽しむ”ことをより広げていることは間違いなさそうだ。

■松屋、マクドナルド、かつやのプライドはメニューにも溢れている!?

 また、サイゼリヤには通をも唸らせる衝撃のヒミツも隠されているそうだ。本書が解き明かすそのヒミツを知ると、今までとは違った視点でチェーン店に足を運びたくなる。

 また、サイゼリヤだけでなく、松屋の“ニンニク愛”や、マクドナルドが最先端で行ってきた挑戦、かつやの意外な経営方針など、有名な人気チェーン店の“プライド”について、わかりやすく具体的に紹介されているので、読み手の我々もチェーン店に愛着が一層わいてきそうだ。チェーン店を愛する稲田さんだからこそ編み出した、チェーン店別の「おすすめメニュー」や「ちょっと変わった楽しみ方」も必読だ。

「チェーン店ってかっこいいじゃん!」――読後、あなたの口からは自然とそんな言葉が漏れるはずだ。

文=古川諭香

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