大人が飛びつく「読むとイライラが消える絵本」とは? 幼児版アンガーマネジメント“ガストンの呼吸セラピー絵本”がヒット

文芸・カルチャー

更新日:2019/12/12

<左から>『かなしくなったら やってみて!』『おこりたくなったら やってみて!』『こわくなったら やってみて!』(オーレリー・シアン・ショウ・シーヌ:著、垣内磯子:訳/主婦の友社)

3回の呼吸で怒りが収まる絵本を「子どもよりむしろ自分に」と大人買い続出

「子どもよりむしろ自分のために買った」「大人にこそ必要」と、幼児向けの絵本に今大人が飛びついている。フランス発の絵本『おこりたくなったら やってみて!』『かなしくなったら やってみて!』『こわくなったら やってみて!』(オーレリー・シアン・ショウ・シーヌ:著、垣内磯子:訳/主婦の友社)の3冊だ。

 児童心理学からうまれたこの絵本シリーズは、たった3回の呼吸法によって、子ども自身に怒りや悲しみ、恐れなどのネガティブな感情を手放す方法を教えている。21言語に翻訳され、今秋、日本でも発売されると、子どもが自分で感情をコントロールできるようになると、かんしゃくっ子、泣き止まない子、怖がりな子の扱いに手をやく親がとびつき、一時は品切れ店もでたという。

 ところがこのガストンの呼吸セラピー絵本、思わぬところからも注目を集めている。自分自身の感情の扱いに悩む大人たちだ。SNSなどでは「どうしても子どもにキレてしまう私がまず読みたい」「感情の抑えが効かなくなってきた自分たち祖父母世代にこそ必要」「アンガーマネジメントの本は読む気がしないが、絵本ならとっつきやすい」など、シニア層や子どものいない男女からも、自分のために購入した、したいという声が上がっている。

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「感情が抑えられない自分をどうにかしたい」大人が購入している

 ネットニュースでこの本の存在を知り、4歳の息子のために購入したという30代の母親は「実は自分が読んでみたくて。感情の抑えがききにくい息子に振り回されて、どうしても怒りをぶつけてしまう自分自身の気持ちが落ち着かせたい。子どもがガストン絵本のメソッドを素直に受け入れ、気分をすんなり落ち着かせているのを見て、私のイライラもすっと引っ込んだ。なんだ、こんな簡単なことだったの!と肩の力が抜けた」と話す。40代独身男性からは「仕事のストレスを強く感じていて、アンガーマネジメントの本を読んでみたいと思っていたが、難しそうで手が出なかった。絵本なら自分でも読めそうだと思った」、祖母からは「同居の息子夫婦とうまくいかず、体調がすぐれないこともあり、涙が抑えられないことが多くなった。呼吸法で気分が落ち着かせる方法がわかると聞いて、孫と一緒に毎日読んでいます」という声も。

 

脳科学者も「周囲との摩擦が減り、生きやすくなる」と大人に推薦

小児科医・医学博士・子育て科学アクシス代表
成田奈緒子氏

 発達脳科学者の成田奈緒子氏は「大人にもぜひ読んでほしい絵本ですね」と話す。「イライラを爆発させたり、落ち込みを引きずることは、周囲との摩擦を生む原因に。生きていくうえで損、という意味では、感情をコントロールできるかどうかは大人のほうがむしろ大きな問題です。ガストンの呼吸法をおぼえ、感情を自分でいつでも前向きに整えられれば、大人も『生きにくさ』を感じる場面が減るはず」と推薦する。

 

祖父母世代の「抑えのきかなさ」も解消

「おじいちゃん、おばあちゃん世代の方にもお勧めします。70代、80代になると、だれでも脳の認知機能が衰え始め、感情のコントロールがしづらくなります。怒りっぽくなったり、ふさぎがちになったりし、夫婦間のケンカや子ども世帯、ご近所とトラブル、高齢引きこもりにつながるケースも。お孫さんと一緒に呼吸法を身につけるといいですね」と成田氏。「大人はあせらずゆっくり数カ月続けてみてください。習慣として続けるうち、ネガティブな感情にどうしてもこだわってしまう心の在り方から、ふっと『抜けた』ことを体感できる瞬間が訪れます。そこからは新しい境地が開けてくると思います」。

 大人の生きにくさをラクにし、子どもの生き抜く力を伸ばす「ガストン呼吸セラピー絵本」。特設ページでは、読み聞かせ動画や、幼児教育関係者のインタビューも掲載している。要注目だ。

https://tomobooks.com/p/gaston/