「命を守る片づけとは?」自衛隊式片づけ術で、あなたも生き残りをかけたお掃除を…!

暮らし

更新日:2021/8/30

『自衛隊式片づけ術』(畠山大樹/飛鳥新社)

 なぜか散らかる部屋、面倒な掃除…。片づけに時間を浪費して、うんざりしているあなたに知ってほしいのが自衛隊で実践されている片づけ術。あまり知られていませんが、自衛隊では「片づけ」も訓練のひとつ。自衛隊員達の整理整頓や掃除の能力はとても高いんです!

 陸上自衛隊第1空挺団の自衛官だった畠山大樹さんは、退団後、その経験とノウハウを生かして清掃会社「お掃除レンジャー」を立ち上げ、都内や大阪で1万件以上の民泊物件の清掃を実施。今回、著書『自衛隊式片づけ術』(飛鳥新社)の中でその秘訣を披露しています。

畠山大樹さん。「掃除は運動! 匍匐(ほふく)前進ができるくらいの服装で」。

命に関わるからこそ磨かれる整理整頓の技術

 装備の備品が足りなかったり、手入れを怠っていたりして、いざというときに使えなかったりすると命に関わるのが自衛隊員。だからこそ、片づけや身の回りの整理整頓を日ごろから徹底しているそう。

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 たとえば「台風」という訓練は、教官がわざとロッカーの中身をぶちまけたり、ベッドをぐちゃぐちゃにしたりして部屋を散らかし、その際にこっそりと部屋の中にあったものを持ち去るというもの。部屋に戻った自衛官達は片づけをしながら、何が持ち出されたのかを教官に報告。「有事の際、備品ひとつなくしたことで敵に発見され居場所が特定されてしまう恐れがある以上、何を、どこに、いくつ置いてあるのかを常に把握していなければならないのです」と畠山さんは言います。

 それほどに厳しい訓練を受けて培われる自衛官達の整理整頓のノウハウを毎日の片づけに活かせば、不必要なものが一切なく、清潔で片づけしやすい部屋を保つことができるんです!

理想のリビング。モノはすべてクローゼットなどに整理して収納し、モノが表に出ていない状態。庭に続く窓などの前には何も置かず、脱出口を確保するのも自衛隊式。洗濯などの家事動線がよくなり、災害時の避難などにも役立つ。

ラクに美しく整理整頓するコツ

 畠山さんによると、整理整頓のコツは3つだけ。「①面を揃える、②色・形を整える、③角や木目、端を利用する」。この法則を守れば、見た目が美しく整って、多少手を抜いてもすっきりした部屋を保てるそう。

③は今すぐ実践できるコツ。「部屋や家具の角、木目、端を利用して直角に置きます。木目などがスケール替わりになって、モノの定位置がより正確になるので、部屋の状態を常に同じに保つことができます」。モノの定位置を決める理由に、たとえば誰かが部屋に入ってモノを盗んでいったときに気づけるから、というのも、自衛隊らしい考え方。①と②のポイントはぜひ本書でチェックを。

掃除はルーティン化して継続させる

 自衛隊では何事もルーティンで行うそう。着替えるついでに服の間隔を揃えたり、モノを出したらサッと面を整えたり。必要最低限の動きで効率的に作業ができることはもちろん、行動のハードルが下がるというのもメリットのひとつ。面倒に感じる掃除もルーティン化して習慣にしてしまえば毎日わずかな時間でOK。精神的なハードルも下がります。

ルーティン掃除に特別なアイテムは不要。写真のようにどこにでもあるアイテムで、帰宅後にサッと掃除をするだけできれいを保てます。部屋は心を映す鏡とも言いますが、清潔な部屋に住むことは健康的な精神にもつながります。続けるコツは清潔な状態のうちに掃除をしてしまうこと。毎日のササっと掃除こそ、日々のパフォーマンスも上げるのです。

 本書の中では掃除を暮らしの中に組み込むウィークリースケジュールやタイムスケジュール、場所別の掃除方法や手順も細かく解説。分刻みでスケジュールが決まっている自衛官ならではの効率的な提案は必見です!

文=箕浦 梢