5歳児がかじりつきで夢中になる本! 迷路、推理、間違い探し…遊びがいっぱいの新読み物シリーズ『へのへのカッパせんせい』がおもしろい

出産・子育て

公開日:2020/1/1

『へのへのカッパせんせい: はちゃめちゃにゅうがくしき!』(樫本学ヴ/小学館)

 絵本から読み物へと移行する幼児~小学校低学年の時期の本選びは難しい。親としては読み物の楽しさを知ってたくさんの本を読んでほしいと思うが、子どもが好きなのはやはり読みやすい絵本や漫画。親が無理やり読み物を与えても、かえって子どもを本嫌いにさせてしまうことになりかねない。

 そんな絵本から読み物への橋渡しにぴったりの児童書としておすすめしたいのが『へのへのカッパせんせい』(樫本学ヴ/小学館)シリーズ。コロコロコミックでおなじみの『学級王ヤマザキ』や『コロッケ!』の作者・樫本学ヴ先生初の児童書として話題の一冊だ。その内容を少しご紹介しよう。

 主人公は頭におしり型のお皿を乗せた新任の小学校教師「へのカッパ先生」。1巻の「はちゃめちゃにゅうがくしき!」では、へのカッパ先生が今日から働く小学校の入学式へ向かうところから始まる。ところがへのカッパ先生を待ち受けているのは、たくさんの生徒たち…の中にいた、やたらと物を壊す問題児。へのカッパ先生は、その生徒が抱える問題を見事な推理とおならを使った必殺技で解決していく、というストーリーだ。

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 オールカラーで読みやすく、全体的にほっこりと楽しめる内容。まだ読み物に慣れていない子も、物語の途中にうまい具合に迷路やパズル、間違い探しなどの遊びが登場するので、飽きずに読み進められる。そして、幼児~小学校低学年くらいの子どもたちはおしりやおならのワードを聞くだけで大爆笑! 親としては顔をしかめたくなるところだが、おもしろい=興味につながり、子どもたちはきっと一生懸命文字を読んで内容を解読しようとするだろう。

 私もまもなく5歳になる息子と一緒に読んでみたが、わかりやすい絵とところどころに登場する遊び、そしておしりやおならのワードがおもしろかったようで、最後まで夢中になってページをめくっていた。

 また、遊びの内容も意外と頭を使うものが多い。“2つの絵を見比べて、無くなったものを1つ探す”という間違い探しは、物の位置が変わっているので見つけにくく、“5つに共通するものは何?”という問題も、柔軟な思考力がないと答えが導き出せない。2020年の教育改革によってこれから子どもの創造性が問われる時代に、これは頭の体操になるな~と一緒に読んでいて感じた。

 続く2巻の「あたふたきゅうしょくだいさくせん!」はにんじんが嫌いな生徒が、へのカッパ先生と一緒に嫌いなものを克服する物語で、子どもに僕も食べてみようかな…と思わせるような展開。ふざけているようにも見えるが、給食を作る人の苦労や想い、仲間と力を合わせて困難に立ち向かう大切さなど、読み物としてちゃんと教養になっている点もいい。

 親子で一緒に読んでもいいし、小学校に持って行って友達とみんなで楽しむこともできそう(漫画ではないので学校に持って行けるのも読み物のメリット!)。遊びながら文字を読む練習ができる本書が、読み物の楽しさを知るきっかけになってくれるかもしれない。続編にも期待大!

文=齋藤久美子