『ONE PIECE 95』世界最悪の海賊同盟が結ばれ、三大勢力が崩壊! そしてついに描かれる光月おでんの生き様【ネタバレあり】
公開日:2019/12/30

我々「百獣海賊団」と!!!
「ビッグ・マム海賊団」はァ!!!
「海賊同盟」を結ぶことにしたぞォ!!!
衝撃展開が続くワノ国編。新刊が出るたびにワクワクドキドキ、何度も度肝を抜かれてきた。そして最新刊『ONE PIECE 95』(尾田栄一郎/集英社)は、今までの驚きをはるかに超える、目が飛び出て腰を抜かすような展開が待っていた。
まず世界最強クラスの「百獣海賊団」と「ビッグ・マム海賊団」が海賊同盟を組んでしまうのである。94巻では天が2つに割れて四皇幹部さえ(かっこよく)逃げ出したくなる死闘を繰り広げたのに、いつの間にか仲直り、を通り越して、肩を寄せ合って酒を酌み交わしている。
世界を取ってからでいいよな!!
殺し合いの続きはよォ~~~!!!
いやいや。いやいやいや。今殺し合ってくれよ~。間違っても同盟なんか組むなよ~。最悪だ…。本当に最悪だ…。ただでさえ化け物海賊団なのに、まさか四皇同士が協力して世界を取りにきたら、いったいどうなってしまうんだ?
ところが、である。四皇同士の海賊同盟で腰を抜かしているようでは、最新刊を読み通すことができないだろう。飛び出した目は一度しまって、抜かした腰を元に戻してほしい。驚くなかれ、なんとあの“七武海”たちが窮地に追い込まれる。
今回世界中の人々を最も驚かせたニュースの一つが
“王下七武海”制度の撤廃である!!!
いやー…そうか。そうきたか。たしかに90巻で世界の国王たちが一堂に会して議論を行う「世界会議(レヴェリー)」が描かれていた。ここで七武海の危険性が議題となったようだ。それを訴えたのが、アラバスタのネフェルタリ・コブラ王(ビビの父親)とドレスローザのリク王。どちらの国も元七武海のクロコダイルとドフラミンゴの巧妙な罠にかかり、国民同士が命を奪い合う大混乱に見舞われた。だから制度の撤廃が決定されたのも仕方ない。しょせん七武海は海賊に過ぎないわけだ。
しかし思い出してほしい。七武海は三大勢力の1つとして海に君臨していた。“政府の犬”になることで四皇の進撃を止める重要な大戦力だったはず。その鎖を解いてしまうと…これまたどうなるのだろう?
忘れておる様じゃなあやつら
わらわ達が「王下七武海」になったのは
強さゆえじゃという事を…!!
これは海賊女帝ハンコックの発言だ。制度の撤廃にあたって海軍が七武海という猛者たちを拿捕しに向かうが、みんな余裕の笑みを浮かべる。迎え撃つ腹づもりらしい。
汚ねェぞてめェらァ!!!
相談もなく一方的に決めて
用済みだからひっ捕えるだァ!!?
仁義もクソもねェ奴らだ!!!
おっと失礼、間違えた。道化のバギーだけは撤廃に大反対。「俺の人生計画がムチャクチャだ!!」と大変に怒っていらっしゃる。さすがバギーさんはカンロクが違いますね。
いずれにせよワノ国編で大波乱が予想される中、世界を見渡せば別の大波乱が巻き起こりそうなのだ。ルフィ一行の大冒険の合間で描かれる世界情勢の様子が本当に面白い。これはワンピースの魅力の1つと断言してよいだろう。個人的に何度も読み返しているのが、25巻で描かれた七武海召集の様子だ。
ルフィがクロコダイルを命懸けで倒したばかりだというのに、ドフラミンゴやバーソロミュー・くまといったクロコダイル級の化け物がぞろぞろ出てきて、さらにセンゴク元帥が不気味な顔で「貴様ら戦争でもしにきたのか?」とニッコリ笑う。当時読んでいて大変にゾクゾクさせられたのを覚えている。
新世界に突入して以降、あのゾクゾクが新刊を重ねるごとに頻度を増しているように感じるのは、それだけ物語が確実に最高潮へと向かっているからだろうか。
95巻の後半からは、お待ちかねもお待ちかね、光月おでんの回想物語に入る。モモの助の父親であり、錦えもんをはじめとする家臣たちが惚れこんだ男は、いったいどんな生き様だったのか。
さらに気になるのは、おでんの回想に入りつつ、どうやら当時のワンピースの世界情勢についても描かれる予感がすること。当時とはつまり、海賊王ゴール・D・ロジャーが生きていた頃だ。ルフィの冒険の合間で見てきた断片的な世界情勢が、おでんの回想編に入ることで大きな伏線回収になる期待がどんどん膨れ上がる。もうワクワクしかない。
このほかにも95巻では四皇や白髭、ゴール・D・ロジャーの懸賞金が明かされたり、“最悪の世代”X・ドレークの本当の正体が明らかになったり、驚きの連続だ。もうすさまじい密度である。ハイライト連発で頭がクラクラしてくる。とても楽しい反面、ワンピースという物語の終わりもかすかに見え始めて少し寂しい。いずれにせよワンピースファンならば95巻を買わない手はないだろう。
文=いのうえゆきひろ