「頭がいい人」に共通するのは読解力! 会話でも文章でも役立つ読解力アップの方法は?

ビジネス

公開日:2020/1/9

『「頭がいい」の正体は読解力』(樋口裕一/幻冬舎)

 仕事をしていると、時折「この人は頭がいいな」と驚き、尊敬の念を覚える瞬間がある。特にそう感じるのは、会議で複雑な状況をわかりやすくひもといてくれる人や、むずかしい資料をパッと読んで要点を理解できる人に出会ったときだ。自分もこんな風に仕事を捌ければ、もっと効率が上がるのに…とは思いつつ、なかなかそう簡単に「頭がよく」なるはずもないと諦めてしまいそうになる。でも何かできることはないだろうか?
 
 本書『「頭がいい」の正体は読解力』(樋口裕一/幻冬舎)は、そんな漠然とした「頭がいい」の正体を解説し、誰もがそれを鍛えることができると教えてくれる1冊。タイトルの通り、著者が注目しているのは、「読解力」だ。読解力があれば、文章や会話を正しく理解し、自分の意見を的確に主張することができる。そして、本書はそれを引き上げるために何をするべきかを具体的に教えてくれるのだ。その内容の一部を紹介しよう。

■まずは「語彙力&文章力」に注目

 読解力を上げるために、いきなり「むずかしい本を読もう!」と意気込んでも、おそらく途中で挫折してしまうだろう。まずやるべきと著者が推奨しているのは、語彙力と文章力をつけること。語彙力は、むずかしい言葉を覚えるというよりも、言葉の「言い換え力」を鍛えることが重要になるという。

 著者によれば、文章が読めないときの原因は、言葉の意味を知らないことではなく、言葉のつながりを体感的に理解できないことにあるそうだ。だからこそ、言葉を自分のものにして、自在に操れるようになることで、その「体感」が手に入る。

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 文章力を鍛えることも、その延長線上にある。自分で文章を書いてみれば、他人の文章がどう構成されているかもわかるため、読む際の助けになるのだ。

■文章読み取りのコツをつかめば、飛ばし読みも可能に!

 本書の後半では、語彙力や文章力を土台に、実際に文章を読み解いていく際のコツを具体的に紹介している。ここでは、中でも重要な「3WHAT3W1Hを検証する」ことを紹介したい。

 3WHAT3W1Hとは、文章(小論文も同様)を書く際に考えてほしい項目として、著者が挙げているものでもある。

3WHAT
「それは何か(定義)」
「何が起こっているか(現象)」
「何がその結果起こるか(結果)」

3W
「WHY(理由、根拠)」
「WHEN(いつからそうなのか=歴史的状況)」
「WHERE(どこでそうなのか=地理的状況)」

1H
「HOW(どうやればいいか=対策)」

 それぞれの詳細については本書を読んでいただきたいと思うが、特に重要なのは「WHY(理由、根拠)」だ。レポートや小論文を書く際には意見の正当性を主張するための重要な柱になるし、文章を読解する際にはその主張が正しいかどうかを検証するための大きなポイントになる。

 たとえば仕事に追われていて、資料を急いで読む必要があるときにも、この3WHAT3W1Hを意識してみてほしい。これらの項目をサッと確認すれば、短時間で書類の「要点」をチェックできるはずだ。

「頭のよさ」は、どこか生来のものだと諦めてしまいがちである。だが、後から「鍛える」ことができるものでもある。本書は、語彙力・文章力・読解力の章それぞれに、練習問題を豊富に掲載している。読解力を上げたい人は、むずかしい本にいきなり手を出すよりも、まず本書を足掛かりにして、身近な文章に挑戦してみてはいかがだろうか。

文=中川凌