テラハ出演イケメン漫画家が描く「見た目はモデル、心はオタク」イタリア人に抱腹絶倒! 『ミンゴ』

マンガ

公開日:2020/1/9

『ミンゴ』(ペッペ/小学館)

 イタリア旅行に行った知人が、「現地で3人からプロポーズされた!」と言っていました。嘘か本当かわかりませんが、イタリアといえば“アモーレ”の国です。あながち嘘でもないのかもしれません。

 ほかにもイタリア人といえば、オシャレ、陽気、クルマ好き、サッカー好き、グルメ…そんなイメージをお持ちの方も多いのでは。あるいは「イタリア人=パンツェッタ・ジローラモのような人」と認識している人もいるかもしれませんね。

 とはいえ、イタリア人がみんな陽気かと言ったら、そんなことはありません。オタクでダサくて、女の子とまともにデートもできないようなイタリア人も存在するのです。イタリア人漫画家、ペッペ先生が描く『ミンゴ』(小学館)は、そんなイタリア人が主人公の漫画。

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 子供の頃から、日本のアニメや漫画などのオタク文化が大好きだった主人公のミンゴ。同級生たちが女の子と遊んでいるときも、ミンゴはゲームに夢中。当然モテる機会もありません。

 ところが、アニメの聖地・東京にやって来たミンゴは、早々にモデルにスカウトされます。日本ではイタリア人というだけで、目立つのです。

 そして、モデル仲間に連れられて行った六本木のクラブで日本人モデル・芽奈と出会い、一目惚れします。必死にアプローチを仕掛けようとするミンゴですが、元々シャイで女性慣れしていないため、どうにもうまくいきません。おまけにイタリア人の友達の無茶なアドバイスが、ミンゴを無駄に惑わせます。

 モテないミンゴと、日本人の芽奈、そして、イタリア人コミュニティの愉快な仲間たちが織りなす、外国人コメディーです。

「日本に来た外国人はモテる」とよく言いますが、ミンゴもイタリア人の友達から「日本に行けば絶対にモテる」「日本のクラブでは俺たちイタリア人はめっちゃナンパしやすい」「日本の女の子はイタリア人を求めている」と聞かされます。イタリア人も日本ではモテるとやっぱり思ってるんですね…。

 しかし、日本人女性が求めているのは、格好良くて、スマートなイタリア人。一方、ミンゴは、イタリア人らしくないイタリア人。良かれと思って日本語で女性に話しかけたのに、「日本人と喋ってるみたいでテンション下がる」と強烈なダメ出しをくらう始末。

 そして言うのです。「イタリア人らしく生きるのは大変」と。日本でモテるためには、日本人の思う“イタリア人”にならなければダメなのだと、ミンゴは悟るのです。

■クセ強めのイタリア人仲間に、ミンゴ大混乱

 そんなモテないミンゴを、精一杯応援してくれるのが、語学学校などで知り合ったイタリア人コミュニティの仲間たち。

 典型的イタリア人でプレイボーイのアレクス、ゲームオタクでお調子者のアントニオ、ロリータファッション大好きなマリカ、プロゲーマーで面倒くさがりのピエーロと、超個性的な面々が、ミンゴをサポートします。

 ところが、芽奈とのはじめてのデートの日、なぜか全員が待ち合わせ場所にやってきます。日本人ならエールを一言二言送ってすぐに帰る場面ですが、イタリア人の場合はそうはいきません。それぞれが“イタリア人らしい理由”で居座ろうとします。やりたい放題の仲間たちと、困惑するミンゴの対比がめちゃくちゃおもしろいです。

 作中では、イタリア人ならではの行動パターンや、よくやるジェスチャー、会話のクセなど、“イタリア人あるある”が満載。ミンゴたちの会話を漫画で見ながら、イタリアについて学ぶこともできます。

 ちなみに作中のアントニオによれば、「ファッション、女、サッカー、食べ物」の4つが、本当のイタリア人を特徴づけるものなんだとか。また、イタリア人はどこの国に行っても、イタリア料理ばかり食べるそうな。

 さて、作者であるペッペ先生は、昨年末まで「テラスハウス TOKYO 2019-2020」に出演していたことでも大きな話題に。

 ペッペ先生も、外見は陽気なイタリア人。しかも超絶イケメンだったことから、テラスハウス入居直後は「一体どんだけチャラついたやつなんだろう!?」と視聴者を戦々恐々とさせましたが、生活が始まるとそこには真面目なひとりの漫画家がいました。登場シーンの半分くらいは、漫画を描いている姿だったと思います。週刊連載を抱えながらの撮影は、さぞ大変だったことでしょう。

 番組中にペッペ先生が、初めて自分の連載作品が掲載された『スピリッツ』を手に取ったシーンは本当に感動的でした。テラハ史上TOP3に入るくらいの名シーンだったと思います。

 そんなペッペ先生が描くミンゴは、今後どうなっていくのでしょうか。芽奈と無事に結ばれるのか、それとも陽気な仲間たちに邪魔され続けてしまうのか!? 読むときっと、イタリア人や外国人の友達が欲しくなる1冊です。

文=中村未来(清談社)