今年のアカデミー賞®の行方は? 世界中が熱狂する極上のエンターテインメントを100倍楽しむ方法

エンタメ

2020/2/9

『なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ「アカデミー賞」(星海社新書)』(メラニー/講談社)

 今年も世界最高峰の映画の祭典といわれる、アカデミー賞®の受賞作が発表される。あなたは、今年の結果をどう受け止めるだろうか。

 第91回となる昨年は事前予想で『ROMA/ローマ』が有力視されていたが、蓋を開けてみると人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台にした『グリーンブック』が作品賞を受賞するという番狂わせが起きた。

 今年は第一次世界大戦を舞台にした戦争ドラマ『1917 命をかけた伝令』や、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が有力と予想されている他、日本でも大ヒットを記録したスリラー映画『ジョーカー』にも注目が集まる。

 思わぬ結果に世界中が熱狂するアカデミー賞®の授賞式は、いわば極上のエンターテインメントショー。そんな授賞式をさらに楽しむための秘訣を教えてくれるのが『なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ「アカデミー賞」(星海社新書)』(メラニー/講談社)だ。

 著者のメラニー氏は映画会社に23年間勤務しながらアカデミー賞®の受賞予想をし続けてきた。その的中率は驚異的で、2018年にはなんと全24部門中21部門を的中させたほど。本書では受賞予想のコツはもちろん、歴代の授賞式での名スピーチや予想外のハプニングなど、知られざるエピソードも紹介。あなたも、超一流たちによる「饗宴」を楽しんでみよう。

■アカデミー賞®はどうやって決まるの?

 アカデミー賞®にノミネートされる作品は、みな超一流。だが、実はその年に最も評価が高い作品がそのまま受賞に直結しているわけでもない、というのだ。

 そもそも、アカデミー賞®はカンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭、ベネチア国際映画祭という三大映画祭とは違い、その映画祭に参加した作品の中で賞が競われるのではなく、前年に全米公開された作品が対象。

 そして、選考するのは観客や評論家ではなく、世界中の映画産業に従事する「映画芸術科学アカデミー(AMPAS)」の会員。俳優や監督、スタッフ、映画会社の重役といった「作り手側」が投票権を持っているのだ。

 さらに、全会員が全部門のノミネート作を決めるわけではなく、作品賞以外は俳優部門の賞は俳優の会員が、脚本賞は脚本家が、というように、それぞれの専門家が同業者の専門家に対して投票するのもユニークな点。

 こうした仕組みを知ると、普段から大舞台慣れしている超一流たちがアカデミー賞®の授賞式では緊張したり、感極まったりしているのにも納得がいく。同じ世界で生きるプロから認められた。彼らにとって、これ以上にうれしいことはないはず。そんな「生の喜び」を見られるからこそ、私たちもアカデミー賞®という饗宴に酔いしれてしまうのだ。

■ズバリ回答! 「作品賞」の受賞予想をするには?

 アカデミー賞®には「作品賞」「監督賞」「主演男優賞」「主演女優賞」「脚本賞」という主要5部門の賞があるが、その中でも私たちが一番関心を持つのが、最高賞に位置づけられる「作品賞」。

 この賞を予想する時は、他の部門にどれくらいノミネートされているのかをチェックすることが重要。作品賞は俳優や脚本、撮影などさまざまな要素の素晴らしさを総合した結果、評価される作品に与えられる。だからこそ、ノミネート部門が少ないと受賞しにくいのだそう。メラニー氏いわく、俳優4部門、監督賞、脚本賞、編集賞といった部門に多くノミネートされているほど「本命」の色が濃くなるのだとか。

 特に監督賞にノミネートされていることは重要。作品の世界観をにぎっているのは監督であるため、その監督が評価されているかどうかは非常に大きな注目ポイントなのだという。

 他にもメラニー氏は過去のノミネート作がなぜ作品賞を逃したのかを分析したり、24部門の内、注目されにくいマイナー賞の当て方も詳しく解説したりしている。また、近年の受賞作を通して知れる、アメリカ社会の変化も興味深い。アカデミー賞®は饗宴であるだけでなく、社会情勢を映し出す鏡でもあるのだ。

 メラニー氏の虎の巻を知るとアカデミー賞®の見方が変わり、自分も受賞作を予想したくなってしまう。ぜひ、本書を手に取りながら、まずは今年の受賞作を予想し、結果発表後は再度振り返って、来年の予想材料として役立ててみてほしい。

文=古川諭香