猫4匹と鳥2羽の賑やかな暮らしが愛おしい!『日々猫だらけ ときどき小鳥』

文芸・カルチャー

2020/2/20

『日々猫だらけ ときどき小鳥』(あさのますみ/ポプラ社)

 単調な毎日に喜怒哀楽をもたらしてくれる。動物には、そんな力があるように思う。筆者は3匹の猫と暮らしているが、猫という動物に魅了されている。気ままでイタズラ好きで思い通りにならない。それなのに、名前を呼んだだけで喉を鳴らしてくれる。そんな姿を見ると、動物はつくづく不思議で愛くるしいと思えてしまう。

『日々猫だらけ ときどき小鳥』(あさのますみ/ポプラ社)は、そんな動物愛を増幅させるエッセイだ。

 著者で声優として活躍するあさのますみさんはもともと2羽の鳥飼いだったが、3匹の猫と暮らす男性と結婚。入籍前、ひょんなことから出会った白猫「おもちちゃん」も迎え入れ、2人と猫4匹&鳥2羽という賑やかな生活をスタートさせた。

 鳥にとって本来、猫は天敵。仲良く共存することは難しいように思える。しかし、あさのさん夫婦は安全面に配慮しながら、家族みんなが伸び伸びと暮らせるように工夫。穏やかな毎日を送っている。

 名前に大切な願いが込められた猫の「アルクくん」や生後0日で保護された知的猫の「シマちゃん」、猫なのにしっぽがちょびっとしかないツンデレな「ちょびくん」、出会ったペットショップで阿鼻叫喚な形相を見せたオカメインコの「アビくん」など、4匹&2羽はみな個性豊か。あさのさんはそれぞれの家族に思いを馳せ、出会った経緯や印象的なエピソードを綴っている。大切な記憶とそれぞれの動物の習性を盛り込んだ本書は、作家の宮下奈都さんがコメントを寄せている通り、まさに“極上の育児書”だ。

 三者三様なエピソードに触れると、読み手の頭にも小さな家族との思い出が浮かぶ。家族になった日や泣くほど心配した日、初めてケンカをした日、身を寄せてきてくれた日、そして最期の瞬間…。そんな大切な記憶を思い出して、思わず涙が溢れてしまう。動物と暮らした経験がある方はきっとみな、あさのさんの日常に自分と家族の日々を重ね合わせ、胸がいっぱいになるはずだ。

 いつもと変わらない日常の中に存在している、小さな命。大切だけれど、一緒に過ごす時間が長くなると、その命は普遍的で当たり前に傍にいてくれるように思えてしまう。けれど、目の前の子と出会えたこと、変わらず傍にいられることは天文学的な奇跡なのかもしれない。

 あさのさんの温かい日常を知ると、幸せの重みを改めて噛みしめたくなる。

文=古川諭香