ただのスピンオフじゃない、「姫川玲子シリーズ」アナザーストーリー

小説・エッセイ

2012/6/7

感染遊戯

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 光文社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:誉田哲也 価格:1,050円

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代表作「ストロベリーナイト」のドラマ化で広く認知され、今や日本で一番有名な警察小説となった感のある、誉田哲也の姫川玲子シリーズ。この「感染遊戯」、その一作品ではあるのだが、なんと主役は姫川玲子にあらず。これまでのシリーズに登場した魅力的なバイプレイヤーたちがそれぞれ主役を張るスピンオフ作品集で、緻密に計算された連作短編集でもある。

各篇のタイトルは以下のとおり。
“感染遊戯/インフェクションゲイム”、“連鎖誘導/チェイントラップ”、“沈黙怨嗟/サイレントマーダー”、“推定有罪/プロバブリィギルティ”。すべてが挑戦的な四文字熟語とカタカナ英語の組み合わせ。姫川玲子シリーズはタイトルに謎を解く鍵が隠されていることが多いだけに、これだけでも興味をそそられてしまう。このあたりの興味の惹き方はこのシリーズの真骨頂。もちろん本作でもキッチリ踏襲されている。

この四篇、一見独立したストーリーの体を成しながら、最終章でそれらがカッチリ繋がっていくのが見事。連作短編ながら、下手な長編を読んでいるよりよっぽどの手応えが。もちろんただの“スピンオフ”だけで済ませて良い作品でないことは明白で、他のシリーズ作品と比較しても同等かそれ以上のクオリティであり、まったく遜色がない。

この作品の最重要登場人物は、やはり“ガンテツ”こと勝俣健作。テレビドラマ版で武田鉄矢が迫力満点に演じた、手段を選ばないタイプのいわゆる悪徳警部補なのだが、このガンテツの「正義」に対するスタンスが非常に魅力的。違法捜査も辞さない強引な手法で事件解決を目指す姿が、何故か神々しくさえ思えてくる。誤解を恐れずに言うのであれば、スター・ウォーズのダース・モール、人造人間キカイダーにおけるハカイダー。そこまで言うのは大袈裟かもしれないが、このちょっとしたダークヒーローぶりは間違いなく一読に値する。

とにかく、一度読み始めたらまず止まらないタイプの、ある種厄介な作品であることは間違いない。そして、ラストではしっかり姫川玲子本人の復活も匂わせてくるのだから、玲子フ
ァンも必読の作品。ビシッと骨のあるミステリー/サスペンスが好きな人にはぜひ!


これが目次、実に刺激的で読書欲をそそるタイトルが並ぶ

冒頭ではあのガンテツの私生活が垣間見られる描写多々、ファン必見!

この作品では脇役に徹しているが、もちろんヒロインの姫川玲子も要所で登場

とにかく便利機能多々なXMDFフォーマットは、今のところ電子書籍でいちばん好きな形式

緊張感を高めるために背景黒・ゴシック体にセッティングするのもあり、ただし目はちょっと疲れる