「生理痛は温めて解決」は間違い!? オトナ女子の不調をスッキリ解決する最前線医学の知識

健康・美容

更新日:2020/9/17

『医者が教える 女体大全 オトナ女子の不調に効く! 自分のカラダの「取扱説明書」』(宋美玄/ダイヤモンド社)

 女性の身体には女性にしかない器官があり、女性にしか起きない現象がある。例えば、生理。生理前に心身が不安定になるPMSやつらい生理痛に悩まされ続けると、女であることが嫌になってくることもある。
 
 そんな憂鬱な気分の時、きっと頼りになるのが『医者が教える 女体大全 オトナ女子の不調に効く! 自分のカラダの「取扱説明書」』(宋美玄/ダイヤモンド社)だ。本書は、誰に聞けばいいのか分からない“女性ならではの悩み”を解決してくれる1冊。
 
 著者の宋さんは東京・丸の内にレディースクリニックを開業している産婦人科専門医。医学博士やFMF認定超音波医でもあり、女性医療の現場で活躍しながらテレビやネットなどで情報発信も行っている。
 
 本書のきっかけは、現代の医学で分かっている正しい知識を世の女性に教えたいと思ったからだそう。私たちが雑誌やネットでしばしば目にする、女性の身体に関する「都市伝説」に鋭くメスを入れ、「本当のこと」を教えてくれる。

生理痛は温めるより「鎮痛剤」が効く

「生理の時に子宮を温めると、痛みが和らぐ」――女性なら誰しもが1度は聞いたことがある説。だが、実はこれは正しい解決法ではないという。

 子宮は人体の最も中心部にあるため、本来冷えにくい。下腹部や腰を温めると痛みが和らぐと感じるのも、冷えた子宮が温まったからではないのだとか。温活はリラックスして心が和らぐが、根本的な解決策にはならないのだ。

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 そこで、宋さんがすすめる、今すぐ痛みに対処したい時のベストアンサーは、鎮痛剤を飲むこと。そもそも生理痛は、内膜が子宮から剥がれる時に「プロスタグランジン」という物質が分泌され、子宮が収縮することで起きる。鎮痛剤には、痛みのもととなる物質の生成を抑える成分が含まれているので楽になれるのだ。

 なお、鎮痛剤は痛みを感じてからではなく、痛くなりそうだと思った時に飲むのがポイント。

“「鎮痛剤は身体によくない」「だんだん効かなくなる」と、親世代からいわれた人もいるでしょう。それらはすべて、間違いです。医師や薬剤師の説明や市販薬の説明書などに書いてある範囲であれば、1日に何度飲んでも大丈夫です。”

 ただし、生理痛の裏には思わぬ病気が隠れているケースもあるので、まずは婦人科で診てもらうことが大切。生理痛ぐらいで病院は大げさでは? と思う方もいるかもしれないが、その痛みが子宮内膜症のサインである可能性も。子宮内膜症は不妊の原因になることもあるので、未来の自分を守るためにも「たかが生理痛」と安易にとらえたり、我慢し続けたりせずに、専門医に頼ってみよう。

「膣トレ」で締まりが良くなるってホント?

 近ごろ「膣トレ」に注目が集まっている。膣トレとは骨盤の底にある「骨盤底筋群」を鍛えるトレーニングのこと。セックスの時に男性器を締めることを目的にしたものとして紹介されたりもするので、彼氏から「ゆるい」などと言われた時に、膣トレをしようかな…と考えたことがある人もいるかもしれない。

 だが、実は膣がゆるいと感じるのは女性側より、男性器や男性の感覚、性行為の内容に原因があるのだとか。宋さんは、ネットなどで目にすることが多い「経血がコントロールできる」「ダイエット効果がある」「女性ホルモンが活性化する」という膣トレ情報も安易に飛びつかないようにと語る。

 その一方で、骨盤底筋群を鍛えると尿もれ・尿失禁の改善が期待できるため、宋さんは健康のための正しい膣トレを推奨。尿に関する悩みは年配女性のものだと思われやすいが、実は産後の女性にもよく見られるので、20~30代のオトナ女子にとっても自分事の悩みだと言えそうだ。本書には基本的な膣トレのやり方がイラスト付きで紹介されているので、そちらもぜひ参考にしてみてほしい。

 大きな声で人に相談しづらい「こんな時どうしたらいい?」をやさしく教えてくれる本書は、世の女性が待ち望んでいた「自分の取扱説明書」。身近な女性の体を大切にするために、男性もぜひ手に取ってみてほしい。

文=古川諭香