睡眠不足による経済的損失は15兆円規模! 集中力をキープする最適睡眠時間は?

健康・美容

公開日:2020/9/28

『成功する人ほどよく寝ている 最強の睡眠に変える食習慣』(前野博之/講談社)

「明日は朝早くから仕事。でも、毎日のようについつい夜更かししてしまう…」寝るのがもったいないと思える日は誰にでもあるかもしれませんが、あなたがもしビジネスで「成功」したいならば、自分の睡眠環境を改善してみた方がよいかもしれません。
 
 グローバル企業のトップもこぞって「8時間」の睡眠を徹底していると紹介するのは、『成功する人ほどよく寝ている 最強の睡眠に変える食習慣』(前野博之/講談社)。これを読めば、日々のパフォーマンス向上に役立つこと間違いナシです。

8時間睡眠がもっとも人の「集中力」を高める

 睡眠が大切なのは、誰もが理解しているはず。しかしなぜ、きちんと眠らなければいけないのでしょうか? 睡眠不足や質の悪い睡眠は、健康やビジネスにおける「様々なリスクを上昇させる」と、本書は解説しています。

 例えば、仕事をこなすのに欠かせない「集中力」への影響はそのひとつで、過去に行われたアメリカのペンシルベニア大学の実験でも、睡眠不足と集中力の関係が明らかとなりました。

 彼らが行ったのは、8時間睡眠と6時間睡眠、4時間睡眠の3グループに加えて、3日間で睡眠時間なしのグループが毎日、パソコンの簡単な作業でどれほどミスするかを計測する実験でした。その結果、8時間睡眠のグループが最もミスが少なく睡眠時間が少なくなるにつれてミスの比率が高くなることが明らかとなりました。

 もちろんただ夜更かしをしているのではなく、仕事のために睡眠時間が少なくなったり、徹夜を強いられることもあるでしょう。ただ、できる限りきちんと睡眠時間をとるのがベストであるのはやはり事実で、睡眠不足により集中力が下がっているにもかかわらず「それに気付かず仕事をこなしている現状を知ってほしい」と、本書は指摘します。

運動は朝方がベスト。夜は激しい運動を避ける

 身体が疲れているときにグッスリと眠れた経験は、多くの人が味わったことがあるはず。適度な運動で夜に眠りやすくすることもひとつの選択肢ですが、じつは、身体を動かす時間帯も重要なポイントだそうです。

 本書で紹介されているアメリカのアパラチア州立大学で行われた実験は、まさしくその効果を調べたものでした。

 彼らが行ったのは、午前7時、午後1時、午後7時にそれぞれ運動するグループの睡眠パターンを調べる実験で、その結果、朝方の午前7時に運動したグループの睡眠時間がいちばん長く、深い眠りにつけることが明らかになりました。

 寝る直前に運動をするのがいいのではと思う人もいるかもしれませんが、じつは、夜に運動をすると、睡眠の質にも関わる体内の温度「深部体温」が上昇して、寝付きが悪くなる可能性があります。深部体温が下がるまでには4~6時間かかるため、眠りづらくなってしまうのです。

 本書がすすめるのは「週に2回、夕方6時までに30分の筋トレ」ですが、運動する時間がどうしても限られてしまうような人であれば、夜は激しい運動ではなく軽いストレッチに留めるなどの工夫が必要そうです。

仰向けで寝るのが必ずしもよいわけではない?

 よりよい眠りを確保するためには、寝るときの姿勢にも気をつけなければなりません。本書は、つまるところ「人によって異なる」と述べるものの、いくつかの寝方について解説しています。

 一部では「仰向けで寝るのがよい」といわれる時もありますが、じつは、それが効果的なのはベッドでいえば敷いてあるマットレスの反発性が全体的に均一で、体が沈みこんだときに背骨の自然なカーブが歪まない場合だといいます。

 そして、品質のよいマットレスを使っていても、経年劣化でくたびれている場合も注意しておくべきで、仰向けになると背骨や骨盤が歪む可能性もあり、筋肉が一晩中緊張することで睡眠の質が下がってしまうこともあるそうです。

 また、人によっては仰向けになると重力の影響で舌の根が下がり「いびきや睡眠時無呼吸症候群」を招く可能性もあります。その場合には「横向き」で寝るのがよく、背中や腰が弱いのであれば、抱き枕を使うなどすれば背骨の負担も軽減されると本書はアドバイスしています。

 さて、一睡もせずに日々の生活をこなせる人は、おそらくいないはずです。眠くなったらバタンと眠ってしまうのは生き物としての性でもありますが、その質を上げようとすることへ意識を向けられる機会は、なかなかないかもしれません。

 睡眠不足などによる日本国内での影響について、本書では「年間約15兆円」もの経済的損失が生まれてしまっているといいますが、いま一度、このタイミングで自分の睡眠環境を見直してみるべきでしょう。

文=青山悠

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