時間がない社会人にもおすすめ! デキる人が読んでいるビジネス書を網羅した1冊

ビジネス

公開日:2020/12/3

ビジネスエリート必読の名著15
『ビジネスエリート必読の名著15』(大賀康史:著、グロービス:監修/自由国民社)

 デキる人はビジネス書を読んでいる…。もはや多くのビジネスパーソンにとっては定説になっているはずだが、時間がなくて読んでいる暇がない、なかなか重い腰が上がらないという人たちもいるだろう。そんな人たちにわずかな時間を使ってでも、手間を惜しまずに読んでほしいのが『ビジネスエリート必読の名著15』(大賀康史:著、グロービス:監修/自由国民社)だ。

「読者が選ぶビジネス書グランプリ」は「いま読むべき本」をテーマに、読者が選ぶビジネス書の年間アワードだ。本書は、2016年〜2020年にかけて、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」の部門ごとに選ばれた15冊のビジネス書を解説。ビジネスパーソンに支持される書籍を効率良くチェックできる。

 それぞれの書籍の全体像やそこから学べるポイントを紹介。中でも著者が“しびれた一文”とその解説もあり、より深く考えるきっかけも用意されている。本稿では、15冊のうちの3冊をさらに掻い摘んでご紹介したい。

advertisement

データにより世界の本質をつかみとれるようになる話題書

FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド:著、上杉周作、関美和:訳/日経BP)

 2019年1月の出版時点から2020年上半期にかけて、話題を集めたビジネス書『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド:著、上杉周作、関美和:訳/日経BP)。2020年2月発表の「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」で、総合グランプリ第1位に輝いた。

 著者の1人であるハンス・ロスリングは、医師で公衆衛生の専門家であり、あらゆる分野のスペシャリストたちのプレゼンが注目されるTEDトークの人気スピーカーでもある。彼は、2015年9月に余命2カ月、もって1年という末期のすい臓がんを告知され、予定されていた67もの講演をキャンセル。妻や息子の協力のもと、本書の執筆を決めた。

 本書の核になっているのは、さまざまなデータを駆使して、世界の本質を冷静かつ客観的にみるということだ。例えば、ほとんどの国では世界に対して「どんどん悪くなっている」と答える人が多くを占めるというが、その原因は「悪いニュースの方が広まりやすい」傾向があるからで、データを参考にすると、識字率の向上などいわゆる「良いこと」が増加している側面もある。ただ、多くの場合は「誰かがサメに襲われた事件」など、ネガティブな情報が拡散されやすいため、私たちに「悪いニュースを相殺するように良いニュースを積極的にみる態度が大切」と教えてくれる。

真意を伝えて相手を動かすためのヒントが詰まった1冊

1分で話せ
『1分で話せ』(伊藤羊一/SBクリエイティブ)

 2018年3月に出版された『1分で話せ』(伊藤羊一/SBクリエイティブ)は、ビジネスの場面で求められる「話し方」や「プレゼンテーション」の極意を教えてくれる。2019年2月に発表された「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」で、ビジネス実務部門の第1位を獲得した。

 本書は「人は、相手の話の80%は聞いていない」という著者の主張を前提としている。だからこそ、相手に自分の真意を伝えるための「プレゼン力」が必要になるというロジックには説得力があり、さらにその先で、ビジネスに必要な結果のひとつである「相手を動かす」ところまでを指南してくれる。

 例えば、上司とのコミュニケーションが上手く行かない場合。もし自分が同じ立場だったらと考えれば、円滑に進むかもしれない。現場で動く自分とは役割が異なるのは当然で、相手が抱えている課題や使える時間も異なる以上は、その立場を想像しながら「1分でわかる」ように伝えることで、よりよいコミュニケーションが生まれる可能性もある。

 具体的には「方針をこの場で決めたいのですが」などと前置きして、結論と根拠の順番に述べたあとで「たとえば」と、根拠をささえる裏付けを示す。そうすれば、上司からの信頼も獲得できるようになるはずだ。

人類の遠そうで近い将来を案ずる世界的ベストセラー

ホモ・デウス
『ホモ・デウス(上・下) テクノロジーとサピエンスの未来』(ユヴァル・ノア・ハラリ:著、柴田裕之:訳/河出書房新社)

 現在だけではなく、未来に思いを馳せておくのもビジネスパーソンにとっては必要不可欠。データとアルゴリズムに支配された人類の行く末を占うのが、歴史学者によるビジネス書『ホモ・デウス(上・下) テクノロジーとサピエンスの未来』(ユヴァル・ノア・ハラリ:著、柴田裕之:訳/河出書房新社)で、2019年に発表された「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」のリベラルアーツ部門を受賞した。

 本書は、世界的な大ベストセラー『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』の著者によるもので、同書では「認知革命」「農業革命」「科学革命」を経た人類の“今まで”に焦点を合わせていたが、この本では、人類の“これから”にスポットを当てている。

 文明が発達した現代で、人類はかつて実現できなかった長寿命やそれぞれの幸福を手に入れつつある。さらに、生物工学やサイボーグ工学などの発展を考えると、従来は「神」にしか許されていなかったはずの生命の操作までが現実化しており、だんだんと「ホモ・サピエンス」から「ホモ・デウス」へのアップデートを図るようになった。

 その過程では、最先端テクノロジーに身を委ねる「テクノ人間至上主義」も浸透しつつあるが、欲望を抑えきれない人間は歯止めをかけることができるのか。正解のない課題について、本書は私たちに重く問いかけてくる。

 生き方やビジネススキル、未来予測など、年間で「6000タイトル」を超えるほどに出版されているというビジネス書から学べることは多岐にわたる。本稿では『ビジネスエリート必読の名著15』からごく一部の内容を抜粋して紹介したが、この1冊を読むだけでも、自分の視野がぐんと広がるはずだ。

文=カネコシュウヘイ