本当に削るべきはこの出費!おひとりさまが不安ゼロな老後を送るための「お金の貯め方・守り方」

暮らし

公開日:2021/1/25

幸せな「ひとり老後」を送るためのお金の本
『幸せな「ひとり老後」を送るためのお金の本』(竹下さくら/秀和システム)

 数年前に離婚してからずっと、おひとりさまとして迎える老後が不安だ。本当にこのままひとりで生きていけるのかと悩むものの、もう一度誰かと共に歩む自分の姿は想像できない。女ひとりで幸せな老後を送るには一体、どうしたらいいのだろう――。

 そうモヤモヤしていた時に出会ったのが『幸せな「ひとり老後」を送るためのお金の本』(竹下さくら/秀和システム)。著者はファイナンシャル・プランナー。本書ではひとりで老後を送ることになった時に大きな問題に直面しないよう、お金を貯める・守る方法を解説。「暮らし」「住まい」「老後資金」「保険」「葬儀・お墓」という5つの視点から、今からできる老後への備え方を教えている。

■本当に節約すべきは、固定費

 厚生労働省が発表した2019年の日本人の平均寿命は女性で87.45歳、男性81.41歳と、男女の間には約6歳の差があった。これは言い換えると、結婚の有無に関係なく、女性のほうがひとりで老後を過ごす可能性が高いということ。

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 以前と違い、今は国に頼るのは難しい時代だ。自分で舵をとり、生きていかなくてはならない。だからこそ、いざという時に頭を抱えないよう、今のうちからいつか必ずやってくる老後に向けて備える必要がある。

 そのためにまず大切なのが、現状を知ること。貯蓄を意識すると、つい食費や余暇を楽しむ費用を削りやすいが、暮らしと心のゆとりが奪われて精神的に追い詰められやすいので、それはNG。本当に見直すべきなのは、通信費や保険料といった固定費なのだそう。

 固定費は一度見直すだけで、ずっと節約効果が続くというメリットもある。特に、「この先もずっとシングルかも……」と思っている人は保険を“自分自身が使えるもの”にしていくことが重要。万が一働けなくなった時に頼れる保障を手厚くしつつ、未来の自分を守っていこう。

■会社員の先取り貯蓄は「一般財形貯蓄」で

 賢くお金を貯めるコツは、先取り貯蓄を意識すること。会社員の場合は「財形貯蓄制度」を利用するのもおすすめだ。

 財形貯蓄制度には、使途に定めのない「一般財形貯蓄」、老後資金作りを目的とした「財形年金貯蓄」、マイホーム取得やリフォーム資金を貯める目的の「財形住宅貯蓄」がある。嬉しいのは、どれでも住宅購入やリフォームの際に「財形持家融資」が利用できる点。これは5年ごとに金利を見直す固定金利制で、申し込んだ時点の金利で借りられるというメリットがある。

 おひとりさまが快適な老後を送るには、将来どんな家に住むのかも重要になってくるから、こうした制度も活用しつつ理想の未来図を具体化させていこう。

■「iDeCo」にはどんなメリットがあるの?

 近頃よく見聞きするようになった「iDeCo(イデコ)」は、賢く活用すれば日々の暮らしにゆとりを生み出してくれる。

 そもそもiDeCoとは「個人確定拠出年金」の愛称。運用で得た利益が非課税となるだけでなく、掛け金の全額を所得控除として所得の額から差し引けるため、所得税や住民税を減らせるというメリットがある。

 こうした控除はパートをしている主婦にとってもありがたい。なぜなら、これまで103万円までに抑えていたパート代を130万円まで増やしても、所得税がかからないようにできるからだ。

 iDeCoは銀行や証券会社、保険会社、郵便局などで口座開設できるが、手数料や商品のラインナップに違いがあるため、じっくりと比較して検討することが大切。本書では口座開設までの流れや運用法、始めどきなどが学べるので、老後資金を備えたいと考え始めた際にぜひ参考にしてみてほしい。

 他に、おひとりさまの相続対策や施設の探し方なども知れる本書は、自分が何に不安に思っていたのかも気づかせてくれる。具体的な対策を知り、お金の不安と上手く付き合っていけたら、幸せなひとり老後も夢ではない。

文=古川諭香