“副菜作りの鬼”が提案するおかずの組み合わせメソッド! カレーには福神漬けよりもやしのナムル。甘辛味の肉にはマヨネーズ味がマスト

暮らし

更新日:2021/2/25

 主菜は割と早くきまるのに、副菜を考えるのは意外に難しい。「あと1品なににしよう」は、台所を預かる身に毎日つきまとう、小さくも切実な悩み。コロナ禍で自炊の機会が増えた昨今だとなおさらである。おかずをあれこれ作るのは大変なのは分かっているけれど、ないと物足りず、なにより食卓がなんだか寂しく、味けなく思えてくる。あると嬉しく、食事時間の満足度を大きく左右するのが副菜なのだ。

arikoの副菜の鬼
『arikoの副菜の鬼』(ariko/主婦の友社)

 今回紹介したいのが、『arikoの副菜の鬼』(主婦の友社)。著者は雑誌の編集ライター業をこなしながらも大学生の息子と夫のために料理を作り、その写真をインスタグラムで披露するたびにたくさんの「いいね!」を集める大人気のarikoさん。なんともおいしそうでセンスあふれる料理の数々に魅了されるファンは多く、フォロワーは17万人以上。人気モデルや女優からのコメントもたびたび寄せられている。そんな著者がふだん作っている副菜レシピと組み合わせのアイデアをふんだんに披露している1冊である。

食事時間を“口福”にするためには、副菜の役割が最重要

 副菜次第で一食の満足度が変わってくる。

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arikoの副菜の鬼

「副菜とは主菜をおいしく食べるためのものである」というように、arikoさんの副菜は、主菜ありきで考えられることが多い。ごはんが進む甘辛味の肉おかずには、まろやかなマヨネーズ味のポテサラやマカロニサラダで甘辛さを引き立たせ、野菜はシャキシャキ食感のものを準備する。そうすることで新鮮な気持ちで主菜が食べられるのだ。カレーなら、爽やかなフルーツサラダと漬け物代わりのマリネを2種用意。飽きてしまいがちなカレーもどんどんおかわりされるという。お互いを補うさまざまな味や食感のおかげで一食の満足度が高まるうえ、組み合わせが絶妙で「これやってみたい! 食べてみたい!」と思えるものばかりなのだ。

arikoの副菜の鬼
カレーの日はきのこともやし2種類のマリネとパイナップルとパクチーのサラダをセットに

切っただけ、あえただけで完成する、加熱なしで食べられるメニューを取り入れる

 もう一品何かほしいというときに便利なのが、加熱せずに食べられる食材を使った副菜だ。ピーマンを生のまま刻んで塩こぶにオイルを少々、フルーツとチーズを組み合わせて前菜に、など、簡単レシピのときこそ“インパクト重視”なものを作るのがコツなのだ。レタスとトマトのド定番生野菜サラダをこれに変えるだけで、食卓が一気に華やぎ、盛り上がるだろう。

arikoの副菜の鬼
左)刻みピーマンの塩こぶがけ 右)イチジクとブッラータのカプレーゼ

新しい味を気軽に楽しめるのも副菜のいいところ。新しい味にトライする時は、まず副菜で

 書籍の中では「外食はアイデアの宝庫で、意外な味わいや目からうろこの組み合わせに感動したら自宅でも作ってみる」と語られている。店で食べた味が家族に受け入れられるかわからない場合でも、副菜として作ればその日の食事に大きな影響はないので、実験的に食卓に出す楽しさがあるんだそう。著者のインスタの投稿は、自身が作る料理だけでなく、レストランの食べ歩き記録も注目されているが、数日後その店で食べた料理が自宅で再現されていることも少なくない。本書でも、カウンター和食で食べた「ゴルゴンゾーラの茶碗蒸し」や「玉ねぎと生ハムのかき揚げ」など、どんな味だろう? と、味の想像をするだけでたまらなくお腹がすいてくるようなメニューが数多く紹介されている。

arikoの副菜の鬼
左)玉ねぎと生ハムのかき揚げ 右)なすのから揚げスパイスソルト

買ってきたお惣菜は調理過程と考えて、味や食材をちょい足し。我が家の味にしてしまう

 料理好きな著者も、もちろん忙しい日はスーパーやデパ地下の惣菜コーナーに頼ることもしばしば。ただし、そのまま食卓に並べることはほとんどなく、薬味や柑橘類をプラスしてフレッシュ感を出したり、ときには別の食材を足してボリュームアップさせたりするというのだが、この発想が画期的だ。買ってきた惣菜をひと工夫して“我が家のひと皿”にしてしまうところが、主婦業20年選手のなせる技なのだと思う。

arikoの副菜の鬼
買ってきたポテトサラダも、ゆで卵をのせてボリュームアップ。そこにマスタードドレッシングをかけて。

家にあるもので作れる副菜や作り置きおかず、arikoのお気に入り買い置きアイテムも満載!

 ありがたいのが、きらすと落ち着かないという「納豆」「明太子」「梅加工品」「チーズ」「漬け物」などを使って作る「家にあるもので作れる副菜」の紹介だ。特別な味つけをしなくてもぴたりと味が決まって失敗知らずというレシピにも、著者の組み合わせの妙が光るものばかり。うどんやそうめんなど軽めの主食におすすめという「キムチとトマトの卵炒め」や、揚げものがわりに作るという「お揚げ納豆」は、すぐに我が家の“定番副菜”に迎え入れたいと思えるポテンシャルだ。

arikoの副菜の鬼
キムチとトマトの卵炒め

 

arikoの副菜の鬼
お揚げ納豆

 また、作り置きできるアイテムも日持ちとともに数多く紹介されていてとても便利。さらには著者が「副菜作りに欠かせない」というお気に入りの調味料や愛用中のだしパック、買い置きしている塩やチーズなども数多く紹介されているので、まずはこのアイテムから手に入れようと思っている。

arikoの副菜の鬼

 本書を読むと、主菜との組み合わせポイントをおさえて副菜を準備すれば、いつもの食事時間の質をぐんと格上げできることが分かった。そして、献立のマンネリに効果的で今すぐ作れそうな簡単レシピが、数多く紹介されている。食事を飽きさせない工夫は副菜で解決できると教えてくれる1冊だ。