夫婦や家族が抱える問題。それは見過ごされてきたお父さんの発達障害が原因かも!? 

暮らし

公開日:2021/3/29

子どもの面倒を見ない。お母さんとの会話が少ない お父さんが発達障害とわかったら読む本
『子どもの面倒を見ない。お母さんとの会話が少ない お父さんが発達障害とわかったら読む本』(宮尾益知:監修/河出書房新社)

“実は、子どもの診察で来たお父さんの中に、かなり高い割合で発達障害の特性が見られます”

 そう指摘するのは、日本でいち早く発達障害外来のクリニックを開院し、臨床で当事者と向き合ってきた宮尾益知氏だ。子どもだけでなく、大人にも発達障害がある。決して大人になってから急に生じるわけではなく、生来の特性が大人になってから発見されるのだ。

『子どもの面倒を見ない。お母さんとの会話が少ない お父さんが発達障害とわかったら読む本』(宮尾益知:監修/河出書房新社)では、「お父さん」にフォーカスし、家族や夫婦が抱える問題に解決のヒントを提供する。本書のタイトルにあるように「子どもの面倒を見ない」「お母さんとの会話が少ない」のほか、「マイルールを家族に押しつける」「暗黙の了解が通じない」「整理整頓ができない」などに困っている人は多いが、類書がまだ少ない貴重な領域の本である

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 発達障害とは、先天的な脳の特性で起こる不適応な状態を指す。主に以下の3つがあり、それぞれ併発しているケースも少なくないとか。

・ASD(自閉症スペクトラム障害):社会的なやりとりの障害、コミュニケーションの障害、こだわり行動

・ADHD(注意欠如・多動性障害):不注意、多動性、衝動性

・LD(学習障害):聞く、話す、読む、計算する、書く、推論する、のいずれかに困難

 近年では発達障害についての認知が広まり、子どもたちについては早期発見されやすくなっているが、大人は見過ごされてきていることが多い。大人が発達障害に気づくきっかけには「仕事がうまくいかない」「うつなどの二次障害を起こす」などがあり、なかでも本書が着目したのは「子どもの診察でクリニックに来たお父さん」というわけだ。

“発達障害が単純に親から子へと遺伝すると考えるのは早計ですが、発達障害のある子どもの付き添いでクリニックを訪れる両親、とくにお父さんに発達障害の特性と考えられる言動や行動が見られるケースがよくあります”

 本書には、発達障害のある大人とその周囲の人々に有用なヒントが具体的に掲載されている。「家族療法」「夫婦療法」に踏み込んで解説されるのは画期的だ。「お父さん」個人に着目するだけでなく、周囲の人々全体をケアの対象とし、改善の考え方やケーススタディに多くのページが割かれている。

“もし、お父さんにも特性があるのでは?と感じることがあるなら、悩みを一人で抱え込まずに、医師や専門家に相談し、適切な対応法を身につけていくことが大切です”

 医師や専門家への相談も視野に入れつつ、本書で紹介されるヒントを参考にしてみてはいかがだろうか。

文=遠藤光太

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