「モヨウ替え」が家事のモメごとを解決!? 家族が自分で動くようになる部屋づくり術

暮らし

更新日:2021/4/6

家事でモメない部屋づくり
『家事でモメない部屋づくり』(三木智有/ディスカヴァー トゥエンティワン)

 子どものおもちゃが散乱し、片づけたそばから散らかるリビング…。夫に家事を頼んでも中途半端で結局自分の負担が増えるだけだから、むしろいないほうが助かる…。こんな我が家のような家庭、けっこう多いのではないだろうか?

 夫は自分からはなんにもやってくれないし、子どもは何回いっても片づけない。「なんで私ばっかり…」。正直、家事と子育てには不満だらけである。

 そんな生活を送っているさなかに出会ったのが『家事でモメない部屋づくり』(三木智有/ディスカヴァー トゥエンティワン)という1冊。帯に“夫も子どもも自分で動く! 家事シェア・モヨウ替え術”とあり、思わず手に取ってしまったのだが、これがかなり参考になる内容だったので少し紹介したい。

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自分にとってではなく“家族にとって使いやすい”を考える

 本書によれば、共働き家庭が増えている今、“家族のチーム化”をすると家事の押し付け合いが減るという。我が家でも夕飯の支度は私、食器洗いは夫、というように家事の役割を分担している。それがチーム化? と思ったら、ちょっと違うのだ。

 本書のいう家族のチーム化は、家事と子育てを家族全員で“分担”するのではなく、“共有(シェア)”する意識を持って、チーム全員がやりやすい環境をつくること。仕事でチームを組む時と同じように、みんなで情報を共有することが大切なのだ。

家事でモメない部屋づくり p.50

 いわれてみればうちのリビングやキッチンも、私が使いやすいように家具や収納を配置してしまっている。いつのまにか自分なりのルールを決めてしまっている場所も多く、夫や子どもが間違えると「これはこの引き出しじゃなくてこっちにしまって」と怒ったりする。

 実はこのマイルールこそ、家事でモメる大きな原因。「マイルール」を見直して、「家族のルール」に置き換えるのがチーム化の第一歩だという。家族のルールの作り方は、例えば「ここにおもちゃを収納する棚があったら便利? それとも持ち運びができるカゴにしたほうがいいかな?」というように、子どもも含めて家族みんなで話し合いながらルールを決めていく。こうすると、家事を共有する意識が自然と高まり、家族全員にルールを守ろうという気持ちが生まれるはずだ。

“モヨウ替え”をすると、家族関係までよくなる!

 家族というチームで家事をシェアするためには、家族が使いやすいように家具や物の配置を変える「モヨウ替え」がもっとも有効な手段だという。でも、「ここに棚を置きたいからさっそく家具を見に行こう!」といきなり家具を選びに行くのはNG。まずはどんな暮らしをしたいか、家の間取りを見ながら理想を具体化していくのがいい。

 例えば、キッチンの前にダイニングテーブルを置き、リビングの広いスペースに大きなソファを配置したこの家。よくある構図だが、これだと子どもがおもちゃで遊ぶスペースがなく、家族の通り道におもちゃが散乱してしまう。

家事でモメない部屋づくり p.75

 そこで、「子どもがのびのびと遊べるスペースをつくってあげたい」という理想をもとに、モヨウ替えしたのがこちらのレイアウト。

家事でモメない部屋づくり p.77

 ソファをダイニングに移動し、テレビの前を床座にしたことで、大人がくつろぎながら子どもと一緒に遊べるスペースができた。おもちゃを使わない時は、テレビの横の壁面収納へ。これなら子どもも自分で片づけがしやすい。

 もしよく友人が集まるような家だったら、広いスペースにダイニングテーブルとソファを配置し、目の届きやすい場所に子どもたちが遊べるスペースを設けたこんなレイアウトもいい。大きなダイニングテーブルはリビング学習にも向いている。

家事でモメない部屋づくり p.79

 この間取りを見るだけでも、“ここがリビング、ここがダイニング”という固定観念を捨てて自分たちの暮らしに合わせてレイアウトしたほうが、断然暮らしやすくなるのが一目瞭然。これを家族みんなで考えて、家族のルールを共有すれば、「なんでこれがここに置いてあるの?」「これで片づけてるつもり?」なんて、モメごともきっと少なくなる。

 私のように空間デザインが苦手な人も、モヨウ替えのHOW TOをひとつひとつ順を追って教えてくれる本書があれば大丈夫。モヨウ替えがレシピ化されているので、自分の家にあてはめて考えられるのもありがたい。

「夫や妻に手伝ってもらうより、自分でやったほうが早いしラク」。そう思っている人にこそ、手に取ってもらいたい本書。家族ひとりひとりが自発的に動けるような環境を整えると、生活のストレスが減り、家族関係も良好に。もしかしたらワンオペ育児&家事からも卒業できるかも…しれない!

文=齋藤久美子