季節ごとのセルフケアで心身がほっこり。体調不良や肌トラブルに役立つ「漢方の知恵」

暮らし

公開日:2021/9/25

心も体もととのう 漢方の暮らし365日

著:
出版社:
自由国民社
発売日:
心も体もととのう漢方の暮らし365日
『心も体もととのう漢方の暮らし365日』(川手鮎子/自由国民社)

 季節の変わり目になると、なんとなく体調がすぐれないと感じることがあるもの。病院に行くレベルではないけれど、心身の不調が気になる……。そんな時、私たちは一体どう自分の体を労ってあげればいいのだろうか。

 そのヒントを得られるのが、『心も体もととのう漢方の暮らし365日』(川手鮎子/自由国民社)。著者の川手鮎子さんは、漢方薬局を45年経営。薬剤師の資格だけでなく、中国政府が中国の漢方医師(中医師)と同じレベルであると認定している「国際中医師」の資格も所有する中医学のエキスパートだ。

 本書では2000年前に書かれた中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』をもとに、漢方や中医学の知恵を365日分紹介。

 健康本というと難しそうに思えるかもしれないが、本書は全ページフルカラーであるため、まるで大人のための絵本のよう。美しいイラストに癒されながら、不調を楽にする季節ごとの過ごし方や食生活の改善法などが知れる「令和の養生大全」だ。


advertisement

乾燥する秋は五臓六腑の「肺」を潤そう

 ジメジメした夏が過ぎ、秋風が吹き始めると肌荒れしたり、体調が悪くなったりして辛い……。毎年、そんな悩みを抱えてしまう方は五臓六腑のうちの「肺」の働きが低下している可能性があるという。

 五臓六腑の考え方は西洋医学とは異なり、2000年以上も前に考えられた「陰陽五行説」が基本理論になっている。「肝」「心」「脾」「肺」「腎」と表される五臓は西洋医学でいう「肝臓」「心臓」「脾臓」「肺」「腎臓」ではなく、役割分担を持った組織のことだ。

 夏の気候から一変し、空気が乾燥する秋は乾燥の邪(燥邪)が「肺」の働きを低下させるのだそう。「肺」は肌や皮膚を潤したり、細菌・ウイルスから体を防衛したりする役割を担っているが、湿を好み、乾燥を嫌うという性質があるので、秋になると働きが低下。

 それにより、免疫力がダウンしたり、肌のコンディションが悪くなったりするため、秋には「肺」の機能を高めることが重要となるそうだ。

 例えば、食生活の改善も「肺」を守ることに繋がっていく。実は食べ物には季節ごとに健康に良いといわれている五色と五味がある。

 秋は辛い食べ物や白い食材が良いとされているのだが、しっとり肌を目指すなら、ゆり根がおすすめ。ゆり根は「百合(ビャクゴウ)」という生薬であり、体に潤いを与え、精神を慰めてくれるとか。肌荒れ時には白キクラゲと組み合わせるのがおすすめ。

 また、旬のフルーツである梨は体にこもった嫌な熱を取り、喉を潤してくれるそう。咳を止めたり肌を潤して綺麗にしたりと様々な効果も期待できるので、ぜひ食卓に並べてみてほしい。

冬は「腎」の働きを高めて風邪対策を万全に

 秋が過ぎ、寒さが日増しに厳しくなる冬は何かと忙しい日々が続き、体調を崩しやすい。そんな時期に風邪をひくことが多い人は「腎」を寒さから守ることを意識し、健康を維持。

 著者いわく、「腎」は五臓六腑のうち一番寒さの影響を受けやすいのだそう。アンチエイジングの要ともいわれる「腎」は免疫系やホルモン系、自律神経系を管理する司令塔のような役割を担っており、生命力の源を貯蔵する働きがある。

 そのため、寒さにより「腎」の機能が低下すると老化が加速し、風邪や腰痛、腹痛、下痢、頭痛などが引き起こされることも。こうしたことを防ぐには「腎」を寒さから守ることが大切なのだとか。

 例えば、体を温める食べ物を積極的に摂取し、「腎」の働きを良くしていこう。魚介類ならばエビやサンマ、アワビ、マグロなどがおすすめ。野菜ならネギやしそ、ニンニク、カボチャ、生姜などをセレクト。

 中でも普段から料理に使うことが多いヒネショウガは葛根湯にも使われている「ショウキョウ」という生薬であり、胃を温めて吐き気を止めたり、肺を温めて咳を止めたりしてくれるそうなので、体調がすぐれない時にも最適だ。

 ちなみに、背中がゾクゾクする風邪の引き始めには「風門」というツボをカイロやドライヤーで温めるのがよいのだそう。「風門」は、首を曲げて出っ張ったところから指2本くらい下がった場所の両側にある。

 日頃から風邪をひきやすい人は、タンクトップやマフラーで風門を守るのもあり。この風邪予防策は朝晩の気温差が激しい初秋にも役立つので、覚えておこう。

 本書に記されているセルフケアは、あくまでも数ある健康法の中のひとつであり、もちろん誰でも必ず効果が得られるというものではない。だが、西洋医学とは違い、人間の臓器や組織は連動しており、ひとつの臓器の動きが乱れると他の臓器にも影響が及ぶという中医学の考え方も自分の中にインストールできたら、今よりも健やかな毎日を送るためのヒントが見つかるかもしれない。

 ぜひ自分に合う養生法と出会い、季節の変化に動じない体を作っていこう。

文=古川諭香

あわせて読みたい

この記事で紹介した書籍ほか

心も体もととのう 漢方の暮らし365日

著:
出版社:
自由国民社
発売日:
ISBN:
9784426127336