アニメ2期『異世界食堂2』も大好評! 「洋食屋ねこや」で繋がる、異世界の住人たちの物語

文芸・カルチャー

公開日:2021/11/27

異世界食堂
『異世界食堂』(犬塚惇平:著、エナミカツミ:イラスト/主婦の友インフォス)

 2021年秋アニメとして10月より放送されている『異世界食堂2』。2017年7月~9月に放送された『異世界食堂』の第2期で、小説投稿サイト『小説家になろう』で連載中の小説が原作となっている。書籍としては、主婦の友インフォスから刊行されているライトノベルレーベル「ヒーロー文庫」から、『異世界食堂』(犬塚惇平:著、エナミカツミ:イラスト/主婦の友インフォス)として6巻まで発売中だ。

 本作品は、毎週土曜日だけ異世界と繋がる不思議な洋食屋「洋食のねこや」、そしてそこで提供される料理で繋がる物語。「異世界食堂」と呼ばれ親しまれている「ねこや」の扉はさまざまな世界と繋がっており、人間だけでなく魔族や竜、リザードマン、吸血鬼にハーフエルフと非常に多くの種族が訪れる。

 このねこや、元々は祖父である先代店主から店を受け継いだ店主が1人で回していたのだが、あるとき店主が厨房へ向かうと、匂いに誘われて迷い込んだボロボロの魔族の少女・アレッタが床で眠っていた。そこでアレッタの辛い身の上を聞いた店主は、アレッタをねこやのウェイトレスとして週に1度、異世界と繋がる土曜日に雇うことにしたのだった。ここから、店主とアレッタ2人での「異世界食堂」がスタートする。

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 料理が軸となるこの作品では、料理はただおいしそうなだけでなく、キャラクター同士を繋ぐ大事な役割を担っている。訪れるお客さん1人1人にお気に入りのメニューがあり、中には「メンチカツ」「コロッケ」などそれぞれの好物名で呼び合う常連客も。また、祖父の代から異世界と繋がっているため、歴史を感じさせる繋がりも多く、前店主と異世界の住人たちとの思い出も多数登場する。こうした繋がりを通して料理にドラマを感じられるのも本作の大きな魅力だ。

 また、描写の繊細さも人気の理由だろう。食材や作る工程が丁寧に描かれるのはもちろんのこと、キャラクターたちが繰り広げる食レポのクオリティも非常に高い。アニメ版でもビジュアルだけでなく料理への細やかな描写がセリフや心の声として採用されており、視覚でも聴覚でもおいしさを感じられる。

 10月末に発売された小説の最新6巻でも、現在放送中のアニメ2期で登場するハンバーガーセット(+コーラ)の3人組など、アニメで描かれたキャラクターたちが活躍する。そして3人組の「思い出話」として、また別の話で登場するラミアの話が飛び出し、キャラクターたちが繋がることで世界までもが繋がっていく感覚を味わえる。田村ゆかりが演じるプリンアラモードが大好物のハーフエルフ・ヴィクトリアが「プリン」という偽名で暗躍するなど、ファンなら思わずクスッと笑ってしまうような仕掛けも。

 1つ1つは1話完結型の話でありながら、それらがパズルのピースのように合わさっていく『異世界食堂』は、小説とアニメを合わせて楽しむことでキャラクターや世界観に、より一層奥行きを感じることができる。アニメ2期『異世界食堂2』はまだまだ折り返し地点。これからどんな料理を、どんな繋がりを見せてくれるのか、引き続き原作とともに期待したい。

文=月乃雫

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