ペナントレース開幕まであとわずか! BIGBOSS・新庄剛志が語る「これまで」と「これから」

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更新日:2022/3/16

スリルライフ
『スリルライフ』(新庄剛志/マガジンハウス)

 日本球界に新庄剛志が戻ってきた。

 昨年末に飛び込んできたビッグニュース。日本とアメリカで活躍した元プロ野球選手・新庄剛志氏が、古巣である日本ハムファイターズの監督に就任したのだ。新庄氏の伝説は枚挙にいとまがない。

 優勝争いの最中、敬遠球をサヨナラ安打。日本人初のメジャー4番打者・ワールドシリーズ出場。日本球界復帰後、チームを日本一に導き、自身は現役引退するという劇的な幕切れ。と思いきや、2019年、47歳で現役復帰を目指し、トレーニングを開始。2020年のトライアウトに挑戦して4打数1安打の成績を残す。

 こんな数々の伝説を残す新庄氏だからこそ、そのスター性とカリスマ性で「新庄だったら何かやってくれる」と期待してしまう。

 そんな新庄氏の“これまで”と“これから”に触れながら、プロ野球開幕前の“現在地”について語っているのが『スリルライフ』(新庄剛志/マガジンハウス)だ。新庄氏らしいメッセージが書かれながらも、その裏にある想いや信念、考え方も詳細に語られている。その言葉の数々は、私たちが人生の壁にぶち当たったとき、進む道に迷いがあるとき、それを乗り越えるためのヒントも示してくれるような一冊だ。

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新庄剛志から学ぶ「一歩を踏み出すことの大切さ」

 野球ファンの間では、電撃以外の何物でもなかったBIGBOSS就任。しかし、当の本人はトライアウト挑戦からの野望の一つであったと本書で語られている。現役引退後、バリ島で悠々自適な生活をしている中、ふと「もう一度野球がしたい」と思ったそう。同時に「誰かに野球を教えたい」という想いも持った。

 その二つを叶える一つの道筋が現役復帰。選手としては戻れなかったが、トライアウトに挑戦することで話題を呼び、新庄剛志という人間をアピールできた。本人も監督のオファーが来る可能性はかなり低いと思っていたそう。だが、この挑戦がBIGBOSS誕生への布石となったのだ。

 悩んでいるとネガティブになってしまい、「自分には無理だから」ともっともらしい理由をつけて行動しない。そんな経験は誰にでもあるだろう。だが新庄氏が見せるチャレンジは、一歩踏み出すことの大切さを感じさせてくれ、勇気を与えてくれる。

新庄剛志から学ぶ「あえて空気を読まず、期待を上回れ!」

 本書を読んでいて、少し意外だなと感じたのが「空気を読みますか?」という質問に対する答え。本人曰く、めちゃめちゃ読むそうだ。

周囲の、あるいは世の中の空気を読んでいるからこそ、周りが求めていることが分かる。それを自分なりにプロデュースしながら体現しているのだ。だからこそ、彼のプレーや発言は人を惹きつける力がある。

 しかし、「空気を読んだからといって従うわけでもない」とも語る。しっかり読んだうえで、その空気をどう壊すか、どういう方向に持っていって“新庄色”の空気にするか。その気持ちが予想もしない言動につながっているのだろう。それが“新庄剛志らしさ”の一因なのだと納得してしまった。

 相手の期待を超えるために、言われたことにただ沿うだけではなく、時にはあえて空気を読まずに動いてみると、予想を上回る成果を出せるかもしれない。

 本書では、BIGBOSSとしての決意表明も綴られている。「スタメンは当日発表」「四番には足の速い選手」「外野手2人、内野手5人」「ファイターズから『スター』を出す」など、野球ファンの常識を置き去りにする新庄節。その根拠と自信についても語られているので、気になる方はぜひ本書を読んでいただきたい。

 今年は新庄剛志が日本球界を盛り上げてくれることは間違いない。さぁ、開幕はすぐそこだ!

文=冴島友貴

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