不倫、それは峠の茶屋に似ている/たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集③

文芸・カルチャー

公開日:2022/7/22

『有閑倶楽部』『デザイナー』『砂の城』『プライド』など、数々の名作を生み出してきた、少女漫画界のレジェンド、一条ゆかりさん。人によく相談事をされるという一条さんが、いくつになっても迷える女性たち、ひいては人類に授ける金言集『不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集』(集英社)が誕生! “刺さりまくる”と巷で話題沸騰中の金言の中から、本連載では厳選した6つの言葉をひとつずつご紹介します!

不倫、それは峠の茶屋に似ている。お団子を食べたら、まだ明るいうちに出発しないと迷子になります

 シングル女性と既婚男性の恋、いわゆる「不倫」。不倫は確かにいけないことですし、不倫される妻の側からしたら許しがたいことです。でも、あえてポジティブに考えると、やっぱり不倫ほどおいしい恋愛はないんですよ。

 まず不倫でワリカンって聞いたことがない(笑)。男は自分に負い目があるからおごってくれるし、甘えさせてくれます。

 また結婚と違って、男の汚くてだらしない部分を見なくてもいい。パンツを洗わなくていいし、部屋の片づけをしなくてもいい。男の一番おいしいところを見ていればいいわけです。

 そう考えると、「奥さん、ありがとう」という気持ちにこそなれ、奥さんから奪おうという大それた気持ちにはなれないはずです。

 つまり不倫は、あくまで借り物であって、借りた時の状態で返さなければならないんですね。彼は、結婚という契約を交わした奥さんの持ち物であって、それをちょっとお借りしているのだから、シミをつけたり、汚したりしないようにするのが大人のマナーです。

 ところがつきあいが長くなって深みにはまると、不倫相手の家に電話してみたり、相手の家に様子を見に行ったり…なんていうことをするようになって、気がつけば、楽しい不倫が苦しい不倫に。そうなる前に引き揚げるのが正しい不倫のやり方です。

 もちろんそれでもリスクは伴います。刺されるかもしれないし、慰謝料を請求される覚悟も必要です。すべては自己責任です。とにかく夜の峠はオオカミも出るし、迷子になると怖いので、茶屋でひと休みしたら、明るいうちに出発しましょう!!

<第4回に続く>

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