認知症予防! 脳にいいごはん/誰でも健康になれるノブナガ式食べ方大全

健康・美容

公開日:2023/1/7

今すぐ始めよう! 認知症にならない脳トレごはん

 認知症、気になりますよね。2019年のOECD(経済協力開発機構)によると、日本は先進国の中で認知症の有病率が最も高い国なのだそうです。世界一の認知症大国……恐ろしい話です。アルツハイマー型認知症は認知症の約7割を占めていますが、アルツハイマー病は20年以上かけてゆっくり進行します。そう、ボク自身ももう始まっているのかもしれないのです。今すぐできることを始めましょう!

 マンガでは「DHAやEPAなど脳によい脂質をとろう」とお話ししました。これはかなり重要で、アルツハイマー型認知症の脳を調べるとDHAの量が健常者の半分まで減少しているそうです。また、MCTオイルやココナッツオイルなど、脳のエネルギーになりやすい中鎖脂肪酸をとることも大切です。オメガ6脂肪酸は、脳の炎症を助長するので極力控えめに。

 抗酸化物質を積極的にとることも、アルツハイマー型認知症の予防になります。2020年のアメリカの研究では、ポリフェノール(フラボノイド)をとることでアルツハイマー型認知症のリスクが大幅に下がると発表しています。特にブルーベリーに多く含まれるアントシアニンは、なんと76%もリスクを下げています。カロテノイド(赤、黄、オレンジ色の野菜やフルーツ)をとることも認知症対策に効果があり、カロテノイドをよくとっている人は、そうでない人に比べてアルツハイマー型認知症のリスクが48%軽減されるのです。

アメリカでは認知症が24%減! その秘密は葉酸だった

 みなさんはアメリカやイギリスなどの先進国で、認知症の発症者が急激に減少していることを知っていますか? 2000年に比べて2012年で24%も減少しているそうです。

 アメリカでは、1998年からシリアルやパン、小麦粉などの穀類に葉酸を添加することを義務化しました。ついでカナダやイギリスも義務化しています。実施後、脳卒中や認知症が減少し始めたのです。2016年のフランスの研究でも「葉酸をよくとると、認知症リスクを53%も低下させる」と発表されています。

 日本には葉酸を添加された穀物はほとんどありません。医師や看護師が「葉酸をとりましょう」と食事指導をしてくれているわけでもありません。葉酸が多い食品を一人ひとりが意識してとらなくてはいけないのです。レバー、海苔、納豆、味噌、アボカド、パセリやほうれん草などの緑黄色野菜などを、ぜひとも毎日とりたいものです。

 ちなみに、葉酸は認知症だけでなく、がん、心不全、脳卒中など、さまざまな病気予防に効果があります。元気で長生きするために、葉酸は非常に重要な栄養素です。

高血糖になると脳の中のゴミが掃除されにくくなる!

 認知症の予防効果が認められている食品を食べることも大切ですが、そのうえで強調したいのは「血糖値を安定させてください!」ということです。

 糖質をたくさん食べて高血糖状態になると、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されます。すると今度はインスリンを分解する酵素が大量に使われます。この酵素はアルツハイマー病の原因になる、アミロイドβ(脳の中のゴミ)を掃除する役割も果たしているのですが、インスリン対応に追われてしまうとアミロイドβまで手が回らなくなってしまいます。事実、糖尿病になると認知症リスクが1.6倍から2倍になるという報告があります。

 血糖値を安定させるためには、β-グルカンなどの食物繊維をとることが大切だとこの本でもお伝えしてきました。それが認知症対策にもつながるのです。事実、2022年の筑波大学などの研究で「食物繊維を多くとる人は認知症のリスクが大きく下がる」と報告されました。この研究は40歳から64歳の3739人を20年近く追跡調査した大規模研究で、1日の食物繊維量が18g以上の人は、10g以下の人よりも認知症を発症するリスクが26%も下がっていることがわかったのです。

 食物繊維が腸内で発酵して発生する酪酸にも注目が集まっています。酪酸は大腸のエネルギー源になる一方で、脳の慢性的な炎症を止めてくれるという腸脳相関が認められています。これも認知症予防の重要なカギになります。

 もう1つ、アミロイドβをふやさないために重要なのは夜しっかり眠ることです。アミロイドβの掃除は、眠りが深いノンレム睡眠時に行われます。人間も動物も睡眠不足になるとアミロイドβは増加し、昼寝でとり返すことができないのだそうです。

 2017年に発表されたサウスフロリダ大学の研究によると、「睡眠不足はアルツハイマー病のリスクを55%増加させ、認知症のリスクを65%増加させる。睡眠不足によってアミロイドβの蓄積を378%もふやす」のだそうです。恐ろしいです。

 50代から60代のときの睡眠時間が6時間以下だった人は、認知症のリスクが約30%高くなるという研究もあります。日本人は睡眠時間が短いので、たっぷり寝てくださいね。

<第5回に続く>

『マンガでわかる 誰でも健康になれる ノブナガ式 食べ方大全』をAmazonで読む >

あわせて読みたい