カメラを買ったけど、何を撮ればいいのかわからない…そんな悩みの答え/うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真

暮らし

公開日:2023/11/17

 ケータイ、スマホのおかげで身近になった写真。カメラを買って本格的に始めたいと思っている人は多いのではないでしょうか。

 誰でも写真の才能がある。でも、多くの人が写真を誤解している――写真家・幡野広志氏が大人気のワークショップをベースに、写真の撮り方から心構えまでを書き下ろした「写真の本」が本書です。

 いい写真とうまい写真は違う。だめな写真とへたな写真も同じ意味じゃない。うまくてだめな写真もあるし、ヘタだけどいい写真もある。写真に対する価値観が変わる、写真初心者必読の1冊です!

※本作品は『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』(幡野広志:著、ヨシタケシンスケ:イラスト/ポプラ社)から一部抜粋・編集しました

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うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真
『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』(幡野広志:著、ヨシタケシンスケ:イラスト/ポプラ社)

見たものを撮ればいい

 カメラは買ったけど「何を撮ればいいのかわからない」と悩む人がけっこういる。結論からいえば自由に好きなもの撮れよって話なんだけど、それが実はむずかしい。作文でも絵でも自由に好きにっていわれると悩んじゃうよね。

 はじめてカメラを買うときに誰かに相談をすると「何を撮りたいですか」みたいなことを聞かれる。至極まっとうな質問だけど、仕事で撮影するものが決まっていて機材を選ぶのとはわけが違う。

 はじめてカメラを買う人は写真を漠然と撮りたい。人だって風景だって撮りたいし。野良ネコだって家ネコだってアフリカでサーバルキャットだって撮りたい。カフェに行ったら冷コーだって撮りたいし、カフェに行く途中で見かけた空だって撮りたい。

 だから自由に撮れってことなんだけど、経験のない人が自由に撮れっていわれると、自由なんかまったくなくて誰かの撮っている写真をマネするのがオチだ。だから写真もみんな似たような写真になる。小学生が絵を描くときに友達の絵を意識して、みんなと似るのと一緒だ。本当は自由のはずなのにまったくもってみんな一緒になる。

 誰かと似たような写真を撮って安心したり、場合によっては優劣をつけて勝ったような負けたような気分になったり、突き詰めていくとそういう写真はすぐあきる。カメラを買ったけど使わなくなる。ホコリをかぶっていざ使おうと思ったら充電が切れて、メモリーもいっぱいの状態。全然使ってないから操作もあやふやで撮れない。

 写真を見たときにそれは全部透けて見えます。被写体のことが好きなのか、自分のことが好きなのか、自分のための写真なのか被写体のための写真なのか。写真を見た人のことをどこまで考えているかまで全部わかります。写真って恥ずかしいぐらい、撮影者の性格がよくわかります。

 これは会話でもおなじですよね。自分が好きなナルシストっぽい人と、何かが本当に好きでいる人が好きなことを語るときの会話って違いますよね。

 誰かの写真をマネすることも悪いこととは思わないけど、どうせマネするなら広い範囲の写真を知ってからがいいと思います。ひとつの被写体でも古今東西どんな写真があるか調べるのがオススメ。ポトレとportrait photography で検索するだけで結果が違うんです。

 世界にはいろんなたまご料理があります。たまごかけご飯しか知らないのと、たくさんのたまご料理を知った人がたまごかけご飯を作るのでは違います。

 カメラを買おうとする人は、すでにスマホで写真をたくさん撮ってると思うんです。スマホに入ってる写真を見返してみましょう。自分の好きなものしかないと思います。ここで「こんなくだらないものばかり」と自分で自分をディスるのはいい加減やめましょう。ナルシストもどうかと思うけど、自分を卑下しまくるのもどうかと思いますよ。

 そもそも人は好きなものしか写真を撮りません。好きな人のことは撮りたいけど嫌いな人のことなんか撮りたくないんです。これは視点でもおなじ。好きな人のことは見たいけど嫌いな人のことは視界にも入れたくないものです。

 だから「見たものを撮る」でぼくはいいと思うんです。興味や関心があるから見ています。子どもの運動会では自分の子どもしか見ないでしょ。アイドルグループで推してるメンバーがいたら、その人のことばかり見ちゃうでしょ。好きだからですよ。

 だから「好きなものを撮る」は「思わず見たものを撮る」でいいんです。見たものを撮ればいいだけ。見たものを中心で撮るだけでいい。ピントとか露出とか構図とかまったく考えなくていいです。考えなくていいために事前に設定をしっかりする。

 たい焼きを食べたら、あんこの具合を見ますよね。見たら撮る。飛行機が上空を通過して見上げたら撮ればいいだけ。見たものを撮りましょう。

うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真

うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真

<第4回に続く>

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