グラビアアイドルは被害者じゃない!/伊織もえエッセイ連載「巨乳グラビアアイドルのはなし、聞いてく?」

文芸・カルチャー

更新日:2024/2/2

伊織もえ

グラビアの仕事=被害者なのか

 昔のグラビア業界って「カメラマンに変なことをされました」「事務所の圧力で脱がされました」みたいな噂がよくありましたよね。だから今の30歳以上の方たちとっては、グラビアと言えば裏ではそういうことが行われてそう、みたいなイメージが強いんじゃないでしょうか。

 実は、今のグラビア業界は、昔のイメージから比べるととてもクリーンな世界になってきているんです。私自身、現役のグラビアアイドルをやらせていただいています。雑誌表紙を150冊もやらせて頂いて、たくさんの現場に参加したりしてる中で聞いてるお話って、何も後ろめたいことが無いんですね。

 今の女の子たちはほとんどがお仕事に興味を持って向き合っている子ばかりって感じですし、「何もわかりませ〜ん、事務所にここ来てって言われて急に水着渡されました〜」なんてことは、少なくともコンビニで目にするような雑誌では行われていないんじゃないかなって思います。

伊織もえ

大人がどうにかしてあげないといけない女の子たちが、本当にその場にいたのか

 先日SNSで目にしたのですが、グラビア業界でも最も権威あるであろう漫画誌で、グラビアの動画が炎上していました。出演者に未成年が多かったこともあり、色んな意味で多くの方に注目されたんだと思います。コメント欄もどんどんと本当にたくさんネガティブな意見が書き込まれていって、SNSでもすごいスピードで広がっていきました。

 コメント欄に書かれた意見の大半が「未成年の子どもたちが大人の事情でこんな服を着せられているのはいかがなものか」というものでした。そういう意見を寄せてくださったのは、おそらく彼女たちより年上の方たちばかりだと思われるんですけど、先ほども書かせてもらった通り、個人的にその世代には昔のグラビア業界の先入観がある方が多いんじゃ無いかと思います。だから「脱がされてかわいそうだ」「大人がどうにかしてあげないと」という意見が出てしまうんじゃないかと思いました。

「こういう仕事」をしている女の子はひどい目にあっているに違いない、というイメージがあるんじゃないのかな、と。冒頭にも書いた通り今のグラビア業界は昔のイメージとかなり変わってきているので、多くの人に過去のイメージだけがグラビアの業界では無いことを知ってもらいたいなと思って今回のエッセイテーマにさせていただきました。

伊織もえ

スタイリストさんは人が一人入るカバンを持ち歩いている

 話題にしたグラビアは、動画で目にした限りですが、着用していたキャミソールなどは現在流行しているK-POPの影響で街中で歩くような、若者の私服・普段着としても流行っているアイテムです。渡されて戸惑うような、目にしたことのないような衣装では無いはずです。

 あと、こういう現場では「露出を控えたい」と言えばTシャツを着たりすることも結構できるんです。意外かもしれませんね。動画の子たちをよく見ると、Tシャツの子とキャミソールの子で分かれていました。スタイリストさんは色んなことが起こるのを想定して、衣装1種類につき2枚も3枚も予備をカバンに入れてて、本当に大荷物で現場に入ってます。そのおかげもあって今のグラビア現場にはたくさんの選択肢があります。

 そしてスタイリストさんやメイクさんのお仕事ではめちゃめちゃ女性比率が高くて、どの現場でもモデルさんに寄り添ってくれています。「あの現場は若い子を無理やり脱がせた」なんてことになると、そのメイクさんたちが出入りしている違う現場で一気に噂が広がるんですよ。「この間、あの現場でこんなことがあってね」って。このような空気があるので、強制して脱がすことを良しとしない風潮になってきていると思います。

伊織もえ

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