トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/第2回「オラッ、読売巨人軍好き!」

文芸・カルチャー

更新日:2024/4/8

トム・ブラウン布川ひろき

 トム・ブラウン布川です。

 僕のようないまだにマンションの住民に挨拶しても半数からは無視されるような不審な人間に、ダヴィンチWebでコラムを書かせてくれるなんて何かの罠か足長会社(足長おじさんみたいに)なのですがどうやら罠ではなくセーラームーン、キャプテン翼よろしくの足長会社だったようです。ちなみに僕は身長176センチで座高が100センチの非足長おじさんです。大袈裟ではなく足よりチンPの方が長いです。ほんとです。

 さて、シーズンインザサンTUBEではないのですが言わせてもらいます。

 前回少し書かせてもらったのですが吉村貞明円山球場大ケガからのカムバック感動男な、ごっつりがっつりの巨人ファンです。小中学生の頃は毎日テレビ中継を見て、延長終了の21:24になったらラジオに切り替えて聴いていたごっつりがっつりの巨人ファンです。中学の卒業旅行は田村真一という巨人の正捕手村田真一さんとネームニアミスしている友達と東京ドームに行き、上原投手の初登板を観に行ったくらいのごっつりがっつりこんもりの巨人ファンです。

 札幌円山球場で長嶋監督を入り待ちしてサインをもらいにも行きました。そのサインを後にマンスリー吉本という雑誌のコラムで「二人の神様」というタイトルで野球界の神様の長嶋監督とセクシー女優界の神様森下くるみさんのサインを載せさせてもらったほどのごつ盛り焼きそば巨人ファンです。

 それだけごつ盛り塩焼きそば味もあるよ、の巨人ファンだというのになぜ今まで言って来なかったかというと巨人ファンというと敵を増やしてしまうことが多かったからです。
日本のプロ野球はテレビ中継があったり長嶋・王中心のV9時代があったり、等理由は様々ですが伝統的に巨人ファンがかなり多いです。答えを合わせる企画があってお題がプロ野球の球団といえばだったら恐らく「巨人!」と、言う人が一番多いと思います。
しかし、同時に巨人が嫌い、俗にいうアンチ巨人もものすごく多いです。なんなら野球が好きな人で巨人ファン以外の人はアンチ巨人ばかりです。アンチ巨人の人の巨人嫌いぶりはすさまじいです。

布川「僕、野球が好きなんですよぉー!」
アンチ巨人「俺も好きだよ!えー!一緒に観に行こうよ!どこファンなの?」
布川「巨人です!」
アンチ巨人「、、、あれで勝って嬉しいの?」

 カミングアウトした瞬間に急激にケンカ腰になります。観に行こうという話はそのまま花の慶次です。(雲のかなたにというサブタイトルです。)

 言いたいことはわかります。色んな球団の4番やエースを獲っていたことがあるのが嫌なのでしょう。ヤクルトや広島ファンの皆さんの気持ちは心中察します。僕は地元札幌のJリーグチームのコンサドーレ札幌も好きなのですが、コンサドーレが10代から育成をしてワールドユースやオリンピックで活躍した選手はだいたい別チームに移籍してしまいます。

 最近ではサッカーがまだ発展途上のタイの選手チャナティップを獲得して育て一流になった所で川崎Fに移籍してしまいました。とても悲しかったです。

 それと同じ様な気持ちなのでしょうからとてもわかります。しかし、チャナティップもそうですしコンサドーレの選手はみんなサッカーが上手くなりたいし別の環境で勝負したいという気持ちで移籍するのでしょうから僕はファンとして応援してますし他チームで活躍をしていると嬉しいです。

 そういう気持ちになれない人の気持ちもわかります。それに野球とサッカーでは条件が違うので一概には言えません。しかし、コンサのことがあるので他球団の人の気持ちが少しはわかるのです。

 あと僕は巨人ファンではあるのですがそもそも野球全体が好きなのです。
 他球団→好き、巨人→もっと好き
 みたいな感じです。

 野球はただ投げて打って走ってると思ってる方は大間違いです。まずピッチャーが投げる球の配球をキャッチャーがバッターの心理を読み取って考えます。ストレートを待ってるか変化球を待ってるのか。それをまた読まれてるのかもとバッターが考えます。それをまたピッチャーが感じ取って配球を変えたりすることもあります。かと思えばとにかくピッチャーがストレートで三振取ったるという気合いのみでやるときがあります。今のように野球は実は心理戦がかなりあるというのが面白いのです。しかも1球ごとにこれがあり1試合250球くらいはあるのです。でもその心理戦を通り越して気合いのみでやったる!みたいな人間と人間の意地のぶつかり合いが見れるので痺れます。野茂英雄VS清原和博なんかはオススメです。僕は人間模様が見えるので野球が好きなのです。

 そしてその中でも巨人が好きなのは巨人は藤田監督という頭のキレるタイプの方が緻密に選手を育て、その緻密に育てた選手を後任の長嶋監督という華で溢れてる感覚タイプの方が受け継ぎ優勝をした年があります。その時はシーズン最終戦で巨人の先発3本柱槙原、斉藤、桑田が全員投げて優勝というドラマのような優勝の仕方をしたのです。若い人にわかりやすく言うとWBCで各球団のエースが投げて最後に大谷選手が投げて優勝!がありましたが代表戦がなかった当時からしたらそれに匹敵するものだと思います。あのWBCクラスにカッコ良かったらそりゃ巨人を好きになりますよね。まぁ生まれた時から好きではあるのですが。

 そんな感じで野球自体が好きで巨人が1番好きなだけなのでちゃんとした熱量で巨人以外の球団のこともお話できます。だからアンチ巨人の人にすごい嫌な顔をされると、僕はそっちのことも好きなのにこっちはこんなに嫌われてるんだと悲しい気持ちになります。

 あと野球が好きというと知識量をとても求められることがあります。
 僕が野球好きというと知識を出してきてなんか「俺のほうが知ってるかんな?」のようなテンションで来られる時があります。

 僕はそうではなくただ「秋広楽しみだね。」とか「ブリンソンやっちゃったね」とか知識があるかなんてどうでもいいマウント取ってますよ感のないそんな会話したっけ?くらいになる会話が良かったりします。雑念が何もない会話だからです。僕は雑念が強い人を見るのがあまり好きじゃないのですが野球の話をすると何かこう得たいのしれない強い嫌な部分が見える人が多い気がするのです。

 以上のことがあって僕が巨人ファンという話をすると相手が嫌な気持ちになったり、相手の嫌な所が見えたり、僕が悲しい気持ちになることがあるので話していませんでした。しかし、前回書いたWBCを経て解放した時の楽しさも味わったので少しずつ解放していくことにします。

 シーズン終了前に、ある草野球のチームの皆さんとお仕事をする機会があったので自ら
「僕、巨人ファンです!」
 と、言うとやはり空気がやや悪くなりました。15人くらいいたのですが巨人ファンは1人でした。

 今まででしたら「変な空気にしてすいません!」とただ謝ってひっそりするスタンスを取って終わらせてたのですが、今回は
「変な空気にしてすいません!ただクライマックスシリーズいくのは巨人だかんな!オラッ!」
と、言ったらみんな笑っていました。初対面の人に「オラッ!」とかいうくらい好きなんかいっ!というのでなんかウケたのかなと思います。なんとなくどっちも楽しい感じになったので良かったです。

 ただ好きなのを伝えるのに人間にたいしていきなり「オラッ!」と恫喝するのは正解ではない気がするなぁ。でも一つの成功体験として刻んでおきます。

 なので皆さんもし僕と球場で会った時に
「オラオラオラオラオラオラッ!」
と、ジョジョの空条承太郎よろしくでオラオラ言われたとしても好きなのを伝えるためにやってるだけなので嫌な気にならないでようお願いします。
ホゲッ!!

<第3回に続く>

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