阪田マリンエッセイ連載 第3回「セーラー服と機関銃」/時游性活~ネオ昭和の魅力~

文芸・カルチャー

公開日:2024/5/25

阪田マリンエッセイ連載

中学2年生の夏休み、

当時私は、はっきり言って友達がめちゃくちゃ少なかった。数人程度。広く浅くより狭く深くだ!!なんて思いながら強がっていたのを覚えている。なんせこう見えて当時は学級委員を務める真面目な良い子ちゃんだったのだ。

はぁ…それにしても夏休みなんて嫌いだ。家にいるだけだものつまらない。蒸し暑いだらけたムードで私の夏休みは開幕したのだが、そんな時に角川映画に出会ったのだ。父に勧められて金曜日の晩に父と2人でお菓子の蒲焼きさんを食べながら『セーラー服と機関銃』を観た時のこと。

DVDのパッケージを観た時は正直、面白いのかな?これ。。と疑っていたが観終わった後、その概念は覆った。なに?!この面白い演出、そしてシュチュエーション、そしてワクワクするセリフに内容は!

私はその映画を観た次の日、薬師丸ひろ子さんに憧れすぎて大きなおもちゃの水鉄砲を100均で購入した。
そして何度もリビングで『かいっかん!』と叫んだ(セーラー服と機関銃を観た人はわかるはず)笑

そしてその後ひどく落ち込んだ。それはなぜかって?この映画が公開された時代に生まれたかったから。この時代を生きて、友達とこの映画をリアルタイムで映画館で観て、楽しみたかったから。でもそれは叶わない。それにしても薬師丸ひろ子さんが歌う主題歌の『セーラー服と機関銃』も最高だ。

今度レコード探しに行くかぁ。とそんなこんなで角川映画にハマるきっかけはこの映画だったのだ。それからというもの、私の冴えない夏休みは薔薇色になった。毎日毎日レンタルショップに通う。1日で返せば1日100円でレンタルする事ができたので一気に沢山借りるのではなく、毎日通うほうが安いのだ笑

まあそれもあったし、楽しみは少しずつ味わいたいので1日1本!と決めていた。
今みたいに映画のサブスクなんてまだなかったもんなぁ〜、いまはサブスクができたからレンタルショップがどんどんなくなっているらしく、実際私が通っていたレンタルショップも、今じゃ自転車屋になってるもん。私を育ててくれた場所がまた呆気なくなくなった。
中2の夏休みに角川映画、20本くらい観たのだがその中でも特に印象に残っているものは『キャバレー』『スローなブギにしてくれ』『メインテーマ』『Wの悲劇』だ。まずこれが言いたい。

角川映画と薬師丸ひろ子さんの相性はなぜこんなに抜群なんだ?!マッチしすぎだよ。そして『メインテーマ』という映画を観たことがない人は是非観てほしい。野村宏伸さんのまだあどけない様子の演技がたまらなく可愛いのだ。これらの映画に共通していることは、「ありえないだろ!」というシュチュエーションが多く、それが最高にいいのだ。今の恋愛映画などは視聴者に寄り添う、リアリティーのある映画が多くなってきている気がする、もちろん悪い事ではないけれど私が求めるのは、「ありえないだろ!」と突っ込みたくなるようなユーモアのある映画だ。まだまだ観ていない角川映画も沢山あるのでこれからの人生が楽しみだ。

楽しみは少しずつ味わおう…そしてお父さん、
またまた私に昭和の良さを教えてくれてありがとう。

<第4回に続く>

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