阪田マリンエッセイ連載「時游性活~ネオ昭和の魅力~」/第1回 チェッカーズ『song for U.S.A.』

文芸・カルチャー

公開日:2024/3/10

阪田マリンエッセイ連載

あの日、それに出会っていなければ私は今何をしていたのだろう。

私は平成12年生まれの
昭和レトロ大好きオタク。
なぜ平成生まれの私がこんなにもレトロ好きになったのか。きっかけを書いてみようと思う。

私はあの日、ごく普通の中学生だった。
下校中は流行りの曲を聴き、放課後はお洒落なカフェに遊びに行ったりして。
私の家の隣にはお婆ちゃんとお爺ちゃんの家がある。隣なので毎日のように遊びに行っていた。その日はお婆ちゃんが家の大掃除と断捨離をしていて手伝っていたのだが、お婆ちゃんが大きなレコードプレーヤーを運んできて
『これ、もう捨てようかしらね』と言った。

私は当時レコードプレーヤーという存在さえも知らなかったし、音楽を聴くものという事さえも知らない。『これはなに?』と聞くと、
『レコード盤に針を落としたら音楽が流れるよ。聴いてみる?』と。
お婆ちゃんに教えられながら、早速聴いてみる事にした。私の父が集めていたチェッカーズの
レコードが沢山残っていたので、そのうちの一つチェッカーズさんの『song for U.S.A.』を手に取り、針を落とした。プチプチとノイズ音が鳴っている。

少し沈黙が続き、曲が流れ始めた。その途端
私は何かに目覚めた。なんだかよくわからない。けれどトリハダが立ち、体がゾワゾワとした。サビのラストの歌詞が、当時ティーンネイジだった私にとって凄く刺さるものがあった。
お父さんに聞くと、当時チェッカーズさんは老若男女に大人気で“フミヤヘアー”も大流行し、社会的大ブームを巻き起こしていたそうだ。レコードプレーヤーが残っていたおかげで私はチェッカーズさんに出逢うことができた。そしてアナログの音はこんなにも温かいんだという衝撃。なぜ針1つで音が流れるんだ?そんな疑問を持ちながら、曲の最後までジッと聴いていた。私は音楽を聴く際、スマホかCDでクリアな音質を聴いていたけれど、この2つには出せない無機質ではなく、あたたかい音質や満足感がレコードプレーヤーにはあった。お婆ちゃんに『お願いだから捨てないで』
とお願いした。

この日からレコードだけでなく、映画やファッションなど次々にレトロ沼ににハマっていくことになる。

<第2回に続く>

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