阪田マリンエッセイ連載 第4回「ホットロード」/時游性活~ネオ昭和の魅力~

文芸・カルチャー

公開日:2024/6/15

阪田マリンエッセイ連載

私はかなり映画や漫画に影響されるタイプで、わかりやすく言えば小学生の頃ドラゴンボールを全巻読み終えた後、かめはめ波が自分の手から出るまで部屋でこっそり何度も練習していた。ギャグとかではなく本気だった。

小林よしのり先生のギャグ漫画『おぼっちゃまくん』を読んだ後は日常生活に『ちゃま語』を取り入れていた。※ちゃま語とは、おぼっちゃまくんの喋り方ぶぁい。

主には小林よしのり先生の出身地、福岡の方言を基にした言葉で、そこに同音異義語による言葉を組み合わせたダジャレのようなものを加えて構成されるぶぁい。。と、まあこんな感じぶぁい!

『おぼっちゃまくん』のキャラクターの中で、前だけスーツで後ろは裸の服を着ているびんぼっちゃま君が大好きで、口癖が『落ちぶれても元上流家庭だからな』なのだが私は小学生の頃その意味もわからずに、学校や家でそのびんぼっちゃま君の名言を乱用していたら母に叱られたのを覚えている。

その頃の私は『おぼっちゃまくん』の世界線を生きていた。旅行に行く時、ご飯を食べに行く時、歯医者に行く時、どこに行くにも『おぼっちゃまくん』とのむらしんぼ先生の『つるピカハゲ丸』を持ち歩いていた。母が言うには、小学生の私はあの漫画がないと落ち着かない子だった、何をするにもあの漫画を手放さなかった、お風呂に入る時も持っていた、必ずカバンに2冊ほど入れていた、高熱が出て救急で病院に運ばれた時も漫画を抱きしめていたよ、と言っていた笑 ヘギャピー!!

そんな幼少期の私だったが、中学生になり紡ぎたく先生の『ホットロード』に出会う。

あの頃映画館で『ホットロード』が上映され、私が通っていた塾で話題になった、なぜ話題になったのか?今もそうだが当時は特に熱狂的なファンが多かった三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの登坂広臣さんが主演だったのだ。

登坂広臣熱狂ファンの塾の友達と映画を観に行く約束をしたけど、正直そこまでワクワクしていなかったし、その時まで『ホットロード』も聞いたことがなかったし知らなかった。だが!しかし!またこれが最高に面白かったんだ。主題歌は尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」、主題歌が流れた瞬間、私の心は「キターー!コレーー!」とテンション爆上がり、そして基本は恋愛ベースの物語なのだがその中に、昭和の不良や暴走族、学生特有の心情や浪漫が詰まっているのだ。いつもは映画の前半時点で購入したポップコーンは空になるのに、スクリーンに夢中になりすぎて最後までポップコーンは残っていた。映画を観終わり興奮したその足で本屋さんに向かい『ホットロード』の漫画をすぐに購入した。いやーやっぱり映画には映画の良さもあるけど漫画にしか出せない紡ぎたく先生の世界観があるな。絵のタッチ感もモロタイプだったし、学生にしか響かないセリフや心情もたくさんあった。あーダメだ完璧に世界に引き込まれていく。『ホットロード』の世界線を生きたい…海辺に住みたい、ガソリンスタンドでバイトしたい、制服のスカートもロングに改造してみたい、モヤモヤモヤモヤ。

高校生になったら絶対ガソスタでバイトして、スカートも主人公のカズキみたいにロングにするんだ!今はできないから我慢。我慢。。

(実際高校生になるとすぐに、私はガソスタでバイトを始めました笑)

中学校に登校すると、もう『ホットロード』の話で女子たちはお祭り騒ぎ、まさに社会現象を引き起こしたのでは?と思うぐらい流行っていたなー。

もう一度あの頃のあの子達に会いたい。

<第5回に続く>

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