富士山の5合目は「高さ半分の地点」じゃない。ではどこにある? 【よく見かける表示の謎】連載第5回

暮らし

公開日:2018/12/13

『暮らしの中の表示 知らないと困る最新知識』(博学こだわり倶楽部:編/河出書房新社)

 街を歩くとき、スーパーで日用品を買うとき、さまざまな表示や記号が私たちの目に入ってくる。当たり前の光景としてふだんは見過ごしているけれど、よく観察してみると、「コレってどういう意味?」と気になることも多いはず。そんな疑問をひもとくために、豊富な知識がぎゅっと詰まった『暮らしの中の表示 知らないと困る最新知識』(博学こだわり倶楽部:編/河出書房新社)から、今知りたい情報や、人に教えてあげたくなる旬のネタをご紹介したい。

■山にある「○合目」の表示は、高さや距離で決められているわけではない

 日本を代表する山「富士山」。標高3776メートルであることは広く知られているが、その「5合目」は高さ何メートルの箇所にあるか、すぐに答えられるだろうか?

 高さを10等分しているならば、標高の半分の1888メートル地点にあるはずだが、残念ながらそうではない。また、高さではなく登山道の距離だとしたら、辿るルートによってその箇所は大きく変わってしまいそうだ。

 もったいぶらずに答えを明かすと、この「合」という表示に実は明確な基準はなく、登山の難易度によって付けられているそうだ(本書143ページ)。山頂に近づくほど傾斜は急になるため、登る労力は麓部分より大きくなる。そのため、上に行くほど「合」の間隔は狭くなることが多く、5合目は半分以上の高さに位置することになる。

【富士山の○合目と実際の標高】
10合目=3776m
9合目=3570m
8合目=3350m
7合目=2750m
6合目=2450m
5合目=2305m
4合目=2045m
3合目=1786m
2合目=1596m
1合目=1405m

 登山だけでなく、仕事など物事の達成度合いを表す場合において「よーし、5合目到達だ!」ということは時折あるだろう。そのときには、山と同じように半分以上の距離を過ぎていることを祈るばかりだ…。

 本書では、生活のいたるところで目にする表示や記号、マークについて、「隠されている本当の意味」をわかりやすく説明してくれる。どれも実用性の高い豆知識なので、賢い消費者になるためにも、ぜひ本書を手に取っていただきたい。

文=田坂文