実は消えていない? 「消せるボールペン」のすごい技術 【知らない人が多い!? 「平成31年版」理系の新常識】連載第5回

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2019/1/31

『日本人の9割が信じている 残念な理系の常識』(おもしろサイエンス学会:編/青春出版社)

 大人になると、学生時代に苦手だった理系科目にますます距離を感じるという人も多くなる。でも、理系の知識は、健康に関わる医療だけでなく、私たちに身近な食べ物や電化製品や動物のくらしなど、生活に欠かせない情報にも必ず関わるものだ。

 あなたが苦手だと思って遠ざけていた間に、常識だと思っていた知識はとっくに古いものになっているかもしれない。すでにくつがえされた古い情報や、科学的根拠のないエセ科学を口にしたら、「残念な人…」と評価されてしまいかねない。この連載では『日本人の9割が信じている 残念な理系の常識』(おもしろサイエンス学会:編/青春出版社)から、知れば誰かに教えてあげたくなるような最新情報を紹介していきたい。

■「消せる」ボールペンに隠されたすごい技術とは? (本書41ページ)

 大げさな言い方かもしれないが、かつてボールペンで字を書くということは、書き損じのリスクを背負う行為でもあった。大事な書類や宛名など書いていて、終盤に差し掛かったときにたった1文字を間違えてしまったときの茫然とした感情に記憶がある人は多いだろう。

 だが一方で、そういえば最近そういった体験が減っていると感じている人も多いかもしれない。それは、もしかしたら「消せるボールペン」の存在のおかげではないだろうか?

 現在では各文具メーカーから発売されているが、2006年にパイロットコーポレーションが、ペンに付いたラバーで擦ることで消すことができるボールペン(フリクション)を発売して話題になった。消すことができないはずのボールペンの固定概念を覆し、今では海外でも日本土産として人気のアイテムだ。

 では、このボールペンはどうやって「消す」技術を実現したのだろうか?

 結論を先に言うと、書いた文字や線は消えるわけではなく、「透明になる」というのが正解だそう。熱によって色が変わる特殊インクの技術で、ラバーで擦る摩擦熱を使ってインクを無色にしているのだ。

 したがって、ヘアドライヤーの熱で消すことも可能である一方、極寒の状況では再度発色させることもできる。私たちのすぐ身近にこういった最新技術が活用されていることを知るのは、大人になってもなんだかワクワクするものだ――。

 本書では、健康や食生活に関わる身近な話題から、電化製品、IT、生物、宇宙といった幅広いジャンルにわたって、私たちがうっかりアップデートしそびれてきた「最新の理系の常識」を教えてくれる。根っからの文系体質だという人でも気軽に読むことができるだろう。平成生まれの人も、昭和生まれの人も、本書を片手にあなたの知識の「新旧度」を計ってみてはどうだろうか?

文=田坂文