「金属を身につけていると落雷に遭う」は迷信!?【知らない人が多い!? 「令和元年版」理系の新常識】連載③

スポーツ・科学

2019/7/10

『知っていることの9割はもう古い! 理系の新常識』(現代教育調査班:編/青春出版社)

 大人になると、学生時代に苦手だった理系科目にますます距離を感じるという人も多くなるものだ。でも、理系の知識は、私たちの生活に身近な技術や情報など、生活に欠かせない知識にも必ず関わるものだ。

 あなたが苦手だと思って遠ざけていた間に、常識だと思っていた知識はとっくに古いものになっているかもしれない。この連載では『知っていることの9割はもう古い! 理系の新常識』(現代教育調査班:編/青春出版社)から、知ると誰かに教えてあげたくなるような最新の科学知識を紹介していきたい。

■金属を身につけていると落雷に遭いやすいのか? (本書23ページ)

「雷が鳴っているときに金属を身につけていると、落雷を引き寄せてしまうので危険」だと思っている人は多いのではないだろうか?

 だが、最新の研究ではこの話は迷信に近いことが明らかになっている。金属を身につけていてもいなくても、落雷の確率は変わらないというのだ。

 落雷の遭遇率は変わらなくても、もし遭遇したときに金属を身につけていたらやはり危ないと考えている人も多いかもしれない。しかし、近年では“むしろ”金属を身につけているほうが身体の危険を回避できることも明らかになっている。本書で紹介されているケースによると、2009年イギリスで14歳の少女が落雷の被害に遭ったが、火傷や鼓膜の破裂があった程度で済み、命に別状はなかった。彼女の命を救ったのは、「音楽プレイヤー」だったという。直撃した雷は、電流を通しやすいイヤホンを通じて音楽プレイヤーへ流れたのだ。もし少女が音楽プレイヤーを身につけていなければ、命を

落としていた可能性が高いという。金属性のものを身につけていたほうが生存率は上がるということだ。

 しかし、生存率が上がるとはいっても安全が確約されるわけではない。天候不順な季節に雷雲を発見したら、金属は身につけたままでいいので、まず安全な場所に避難することが先決。自動車や電車の中は、雷が金属でできた車体の表面から地面へ流れていくので、特に安全なスペースのひとつだ。いざというときに何をすべきか迷う前に、正しい知識を仕入れておきたい。

 本書では、このように私たちがうっかりアップデートしそびれてきた「最新の理系の常識」を教えてくれる。平成生まれの人も、昭和生まれの人も、本書を片手にあなたの知識の「新旧度」を計ってみてはどうだろうか?

文=田坂文