生きるモチベーション(メンタル管理と自殺予防)/『健康の結論』②

健康・美容

公開日:2019/7/20

「人生100年時代」といわれる今、「生き続けるためには“防げる死を防ぐ”ことが重要」と堀江貴文氏。堀江氏が専門医師たちに徹底取材してまとめた著書『健康の結論』の中から、もっとも防ぎたい死、「自殺」について解説した章を5回連載で紹介します。

『健康の結論』(著:堀江貴文、監修:予防医療普及協会/KADOKAWA)

若者の死因で自殺が事故死を上回る日本

 日本は若者の自殺者数が、他の先進諸国に比べて多い。

 自殺者数全体は2003年をピークに減っているものの、実は今「自殺を考えたことがある」という人が増えているという。20歳以上を対象にした調査結果では、およそ4人に1人が過去に自殺を考えたことがあると答えている。

 もちろん、自殺を考えたことがある人のすべてが自殺に至るわけではない。けれども人口10万人あたりの自殺者数は世界的に高く、世界約90か国のうちリトアニア(30.8人、15年)、韓国(28.5人、13年)などに続いて日本は19.5人(14年)で6位である。

 特に注目すべきなのは、15~39歳の死因では「自殺」が事故やがんなどを上回り、15~34歳の自殺率は事故による死亡率の2.6倍にも上ることだ。先進7か国で「自殺」が「事故死」を上回るのは日本だけである。

 なぜ日本で自殺が多いのか、その明確な理由は特定できない。それでも自殺を裏付ける遺書などの資料があった例からみると、自殺の理由で最も多いのは「健康問題」で次に「経済・生活問題」、「家庭問題」や「勤務問題」などが続く。

 自殺した人の遺族へのヒアリングなどからも、自殺者の多くは生前、簡単に解決しがたい問題を複数抱えていたことが分かっている。主な問題は次の通りだ。

・生活面での問題(虐待やいじめ、暴力などの被害、身近な人の死)
・メンタルヘルスの問題(うつ病、アルコール依存、治療が難しい病など)
・社会、経済的な問題(返済しきれない借金、仕事上の悩み、失業)

 また、海外の研究では、自殺のリスクを判断する際に次のようなリストが考慮されている。7項目以上に該当する場合は自殺リスクが高いという。

・性別は男性
・年齢は高齢者、もしくは思春期年代であること
・うつ病の存在
・自殺企図の既往
・アルコール乱用の存在
・合理的な思考の障害(精神疾患の症状や極度の心理的視野狭窄)
・社会的支援の欠如
・具体的な自殺の計画
・配偶者がいない
・身体疾患に罹患している

 しかし、実際は多数の危険因子を持つ人が自殺とは縁のない生活をしている場合もあれば、周囲からは該当するように見えない人が自殺してしまう例もある。予防に関して万人向けの良策は見出しにくい、というのが現状だ。

<第3回に続く>

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●著者
堀江貴文
1972年、福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。2010年に創刊した有料メールマガジンは1万数千人の読者を持つ。2014年にスタートしたコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」の会員数は約1600人にのぼり、常時新たなプロジェクトが生まれている。2015年より予防医療普及のための取り組みを開始し、2016年3月には「予防医療普及協会」の発起人となる。
ホリエモンドットコム:https://horiemon.com

●監修
予防医療普及協会
2016年3月、堀江貴文や経営者、医師、クリエイター、社会起業家などの有志を中心として発足。同年9月、一般社団法人を設立。予防医療に関する正しい知見を集め、啓発や病気予防のためのアクションをさまざまな企業や団体と連携し、推進している。
HP:https://yobolife.jp