きゅっとした魅力的な「お尻」は何のためにある? /【下半身にまつわるちょっと残念な雑学】⑤

健康・美容

2019/7/19

『医者も驚いた! ざんねんな人体のしくみ』(工藤孝文/青春出版社)

“小宇宙”にたとえられる人間の身体は、神秘的だ。自分の身体のことなのに分からないことだらけだと感じる人も多いだろう。ただでさえ分からないのに、特に悩みや疑問について人に聞きづらいというのが、「下半身」にまつわる問題。本連載では、内科医でもある著者が綴った『医者も驚いた! ざんねんな人体のしくみ』(工藤孝文/青春出版社)から、知ると誰かに教えてあげたくなるような隠れた人体の秘密を紹介していきたい。

■悩みも多い「お尻」の最も重要な役割は? (本書181ページ)

 男性も女性も、きゅっと持ち上がったお尻は理想的だし魅力的だ。だが、運動不足や加齢で垂れてしまった自分のお尻を鏡で眺めながら、どうしてこんなこんもりとしたお尻の肉が必要なんだろうと疑問に思ったことはないだろうか?

 このようにお尻が発達しているのは、動物の中で人間だけらしい。では、どうして人間のお尻だけがこう進化したのだろうか。

 私たちのお尻は、大・中・小3つの殿筋(でんきん)と呼ばれる筋肉で構成されていて、一番大きいのが大殿筋。骨盤を維持しつつ、お尻から太ももにかけての筋肉を曲げ伸ばしするなど、歩いたり立ったりするときの多くの重要な任務を担っている。

 人間に近いとされる霊長類、チンパンジーも大・中・小3つの殿筋をもっているものの、それほど丸々とお尻が発達しているわけではない。サルと比べて人間の大殿筋は、骨盤のもっとも上のほうにある腸骨とつながっている。つまり、腰のくびれに近い部分から太ももまでつながっているため、他の動物より大きな大殿筋をもっている。この立派な大殿筋があることで、私たち人間は直立した状態で長時間二足歩行ができるというわけだ。

 では、人間はこうした立派なお尻を備えていたから直立歩行ができるようになったのか、直立歩行をしていたからこんな立派なお尻が発達したのか、どちらだろうか? 卵が先か鶏が先かのような議論だが、近年ようやく最新研究で結論が出たらしい。気になる方はぜひ答えを本書で確認していただきたい。

 本書では、このように私たちが日常生活で見過ごしてきた自分の身体の「ちょっと残念な真実」について、頭や顔から足のつま先にいたるまで、非常に幅広い範囲にわたる知識を分かりやすく教えてくれる。自分のために毎日24時間はたらいてくれている「自分の身体の“がんばり”」を実感するには格好の1冊だ。

文=田坂文