アイデアに「センス」はいらない!? 発想が豊かな人はココが違う!/『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』③

ビジネス

公開日:2020/2/2

「天才的なひらめき」や「センス」は必要なし!

「目的」「調査」「発想」――3つの仕組みで「使えるアイデア」を生み出そう!

偏差値35から東大に合格した、現役東大生の著者が試行錯誤のうえ完成させた“東大アイデア”を初公開!

この連載ではその一部、日常からアイデアを【発想】する技を紹介します。

『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』(西岡壱誠/マガジンハウス)

STEP3 日常からアイデアを【発想】する

Ⅰ ふと思いつくアイデア

アイデアに「センス」はいらない!?

 さて、ここまで「アイデアは論理的に作れる」ということをお話ししてきました。

「変化」を意識することで【目的】を作ったり、先行事例を【調査】することでアイデアを作りやすくしたり、「センス」がなくてもアイデアが作れるということを示すことができたと思います。

 しかし世の中には、そうは言っても「発想が豊かな人」というのも存在しますよね。センスがあって、いろんな突飛なアイデアがポンポン出てくる人……そんな人に会ったことがある人もいると思います。

 そういう人のアタマはどうなっているのか?

 はたして本当に彼らは先天的な「センス」でアイデアを生み出しているのか?

 今から僕はそういう話をしたいと思います。

 結論から言うと、僕は世の中の多くの人が考えるような「センス」というものは存在しないのではないかと考えています。

 天性の才能からアイデアが出てくるわけでも、天才だから発想力が優れているわけでもなく、あるちょっとした能力が高いからアイデアがポンポン出てくるだけなのだと思うのです。

 僕も、東大の中でそういう「センス」がありそうな学友とよく出会います。何かの話をしていても、会議をしていても、奇抜で面白いアイデアをたくさん出してくれる友達です。

 でも、彼らがどうしてそんなアイデアを考えつくのかというのを深掘りしていくと、すごく当たり前のところから【発想】を出発させていることがわかりました。

「自分の身の回りにこういうものがあればいいなぁ」

「(ある話を聞いたときに)それってこういう応用もできるんじゃないかなぁ」

 など、日常生活を送っている中での出来事や出会った人の話を起点に思いついていることが非常に多いのです。

 このことから僕が思うのは、「発想力のある人」というのは、「日常の“解像度”が高い人」なのではないかということです。「解像度」とはご存じのとおり、画像などに使われる用語ですね。

「センス」のある人というのは、日常をよく見ていて、何かを感じ取ることができる人のこと―。

 センスというのは「日常生活をよりはっきり見る能力」なのです。

 

身の回りにある「アイデアの素」

 たとえば、アイザック・ニュートンはりんごが落ちたのを見て「万有引力の法則」を思いついたと言います。

 多くの人はりんごが落ちるのを見てもなんとも思わない。ところが、ニュートンだけは「あれ!? なんで今りんごが落ちたんだろう……?」と考えて、地球の引力に思い当たったのです。

 アイデアの元になるようなものというのは、実は日常生活や自然界にいくらでも溢(あふ)れています。それを、「アイデアの素」と捉えられるかどうか―。

 それが「センス」の正体なのです。

 アイデアは、天から勝手に降ってくるものではありません。

 身の回りにあって、それに気づいた人にだけ授けられるものです。

 先ほど僕はSTEP2でも同じことをお話ししましたね。

「アウトプットのためのインプット」

「物事をつなげる能力」

 これこそが、エジソンが優れていた能力であり、いろんなアイデアの源泉になっているものである―と。

 僕は「先行事例」とアイデアを結びつけることについてもお話ししましたが、これは別に先行事例でなくてもいいのです。

 どんな物事がアイデアの素になるかなんて誰にもわからない。

 だからこそ、日常生活をアイデアの素にできる人は強いのです。

「日常の解析度が高い人」とは、「アイデアの素」をたくさん持っている人のこと。こういう人にとって、アイデアを思いつくことなんて容易です。だって、はじめからたくさん武器を持っている状態なんですから。

 STEP3【発想】というのは、何も「センスを高めよう」というわけではありません。「どうやったら、日常の中に潜むアイデアの素を見つけられるのか?」ということをみなさんにお話ししたいのです。

<第4回に続く>