イケメンに告白されても「笑ってはいけない」! 女子高生に課されたとんでもない呪いとは?【手書きPOP付】

マンガ

公開日:2020/4/24

にこめっこ
『にこめっこ』(赤堀君/講談社)

 人は、自分が当事者となって災いが降りかかることを“実感”したときに、ようやく必死な行動をとる。そう、実感していなければ、第三者的感覚でしかない。むしろ“無感覚”に近いかもしれない。だから、自分だけが実感しているという状況は試練であり、孤独との戦いだ。たとえば、コントの中で志村けんさんの背後から、突然あらわる幽霊。絶叫しても、周囲の人には見えていないので、結局志村がいつもバカにされる…という、ザ・ドリフターズによる伝説番組「8時だョ!全員集合」を覚えている方は、懐かしいお決まりのシーンを思い出すとわかりやすいかもしれない(会場の客席から、「志村! うしろ、うしろー!」と声をあげていいのは、舞台と観客との一体感があるからだ)。

 さて、「志村うしろうしろ問題」を踏まえて本題へ。青春ラブコメ、赤堀君先生の『にこめっこ』(講談社)で描かれるのは、自分がほんの少しでも笑うと、大切な人に“とんでもない災い”が起きるという試練を与えられた、少女の姿だ。

“氷の女王”と呼ばれた女子高生が、とんでもない不運に見舞われる!?


 生徒会長で風紀委員でもある女子高生・草原ニコは、普段から誰にも笑顔を見せたことがなく、周りの生徒からは“氷の女王”と呼ばれている。そうなったのは、昔、命の危機が迫った時に現れた悪魔との契約のせい。それは、「救う代わりに、笑顔をもらう」という内容だった。

 こんな呪いのせいで、我慢しているにもかかわらずニコが不意に笑ってしまうと、身近な人や大切な人になにかしらの災いが必ず訪れるようになる。そして高校生になっても、ニコは一切の笑顔を見せずに学生生活を過ごすように。ニコの中でも自分自身のキャラは固まったなと確信したある日、予想外の事件が起きる。それは、学校No.1のイケメン芝浜楽人(しばはまがくと)からの、恋の告白! 絶対に笑ってはいけない、ニヤケも厳禁の青春ラブコメだ。

 大事な青春を謳歌しているお年頃に、このルールは、酷だ。しかも、もし笑ってしまった場合に、悪魔が選んだ相手に訪れるという災いの内容が、これまた痺れる。「殺されてしまう」という最悪のシナリオではなく、すごく地味なのだ! 地味でありながら、精神的にはダメージがデカく、ヤラレそうなものばかり!(…ある意味「プライド」が殺されてしまう?)

 果たして、女子高生が笑ってしまったことで、いったい誰がどんな災いを受けるのか? ぜひページを読み進めながら目撃してほしい!

 この物語のキモとなるキャラは、ニコから笑いの存在を奪い取った悪魔の存在だ。彼女が笑ってないか、常に監視を怠らない。本当に怠らないのだ。彼女がお風呂に入っていてもガン見している(実は変態?)。意思が固く徹底している。そのクセ、悪魔の風貌は、むしろゆるい。常に主人公のそばにいるものだから、かなりの確率で、しかも大事な場面でも堂々とコマに登場し、平然とそのゆるい顔で眺めているから、読者はなんとも憎たらしいと思うようになるはずだ。監視活動に努める悪魔とニコとの“ガチにらめっこ”は、物語のメインなのでハズせない注目ポイントだ!

 さて気になるのは、ニコの学園生活と芝浜くんとの恋の行方。災いが起きないように笑わないキャラを作ってきたというのに、イケメンからのまさかの告白。ときめきたいけど、表情がゆるんだ瞬間に呪いが発動しちゃうからリアクションは抑えなくちゃ――と、まさに悶絶の日々だ。芝浜くんもまた奮闘する。この切ない恋のかけ引きに、読者も悶絶すること必至だ。

 笑顔禁止の青春に翻弄される女子高生と、事情を知らずにアタックするイケメンくん。「笑いなし」といいながら、読者は笑い、そしてきっと胸キュンする異色の学園生活ラブコメ。私たちの生活にもいろいろと制限が課されている今だからこそ、気になるニコの制限との戦いぶり。ぜひとも刮目してこれを見よ!

文・手書きPOP=はりまりょう

この記事で紹介した書籍ほか