義勇の強烈な一言が炭治郎を変えた!! 夢をかなえるために必要不可欠な姿勢とは?/『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方①

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公開日:2020/5/25

マンガ『鬼滅の刃』の炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助が、どんどん強くなれるのはなぜか…。大切な人を守るため、敵を倒すため。思い通りにならないことがあっても、投げ出さずに立ち向かう。『鬼滅の刃』から学べる強い心のつくり方を、印象的なセリフとともにご紹介します!

『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』(井島由佳/アスコム)

炭治郎を変えたあのときの覚悟

 私たちに強い自分のつくり方を教えてくれる中心人物は、『鬼滅の刃』の主人公である竈門炭治郎です。

 彼は、ある日まで、ふつうの男の子でした。お母さんからは信頼され、妹や弟たちからは頼りにされ、炭を売るためにふもとに下りれば町の誰からも親しみを持って声をかけられる、家族思いの優しい子。そんな子が、ある日を境に、鬼の頸をはねる技と心を持った剣士に成長していくことになります。

 私たちが炭治郎に強い自分のつくり方を学べるのは、刀さえまともに振ったことがない炭売りの子が、技術だけでなく、タフな心も必要な剣士になっていく成長過程を見ることができるからです。

 炭治郎は、小さいころから剣士のエリートとして育てられてきたわけではありません。その道のりは順風満帆とはいきませんでした。だからこそ私たちには学べることがたくさんあるのです。

 どんなに頑張っても、効率良く動いても、すべてが自分の思い通りにいくとは限りません。失敗することもあれば、努力が報われないこともあります。あるいは目標が大きすぎて、途中で弱音を吐いたり、あきらめたりすることもあるでしょう。

 壁にぶつかったとき、どうやって乗り越えればいいのでしょうか?

 その判断によっては、人生が大きく変わってくることもあります。自分の殻を打ち破るには、未知なる領域に足を踏み入れることが必要なときもあります。

 そうした困難を克服して、強い自分になるにはどうしたらいいのでしょうか?

 炭治郎が前を向き続けることができたのは、くじけそうになる心を支える、ある思いがあったからでした。

『鬼滅の刃』における、炭治郎のたったひとつの目的は、鬼になってしまった妹の禰豆子を助けること、守ること、人間に戻すことです。それは、物語がスタートしたときから、まったく変わりません。

 鬼に襲われた家族のなかで、1人だけまだ息のあった禰豆子を医者に診せようと、背中におぶって山を駆け降りる炭治郎。そうしているうちに、鬼化が進んだ禰豆子に、炭治郎自身が襲われそうになります。

 それでも炭治郎は、「禰豆子は人間だ」と自分に言い聞かせ、反撃しません。そんな炭治郎の姿を見て、禰豆子はボロボロと泣き出します。

 するとそこへ、鬼殺隊の冨岡義勇がやって来て、禰豆子を殺そうとします。鬼を狩るのが彼らの役目だからです。

 必死に禰豆子をかばおうとする炭治郎ですが、義勇は聞く耳を持ちません。「一度鬼になったら人間には戻らない」と、禰豆子も殺すと突っぱねます。

 義勇には勝てないと判断した炭治郎は、土下座をし、妹を助けてくれ、殺さないでくれと懇願します。

 そして、その姿を見た義勇が一喝。強烈なひと言を炭治郎に放ちます。

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
「奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治す? 仇を見つける? 笑止千万!!」
(1巻 第1話「残酷」より)

 もしもここで炭治郎が引き下がったり、あきらめたりしていたら、禰豆子は殺されていたかもしれません。

 しかし炭治郎は、この言葉を聞いてはっと我に返り、義勇に立ち向かっていきます。力の差がまざまざとあるためにあっさり気絶させられますが、自分の命と引き換えに相手も道連れにすることを狙って、義勇目がけて斧を投げます。

 命がけで妹を守ろうとする兄の必死な姿と、倒れ込む兄を全力で守ろうとする妹の姿に、これまでの人間と鬼の関係性とは違うなにかを感じた義勇は、禰豆子を生かすと同時に、炭治郎を自分の剣の師匠である鱗滝左近次に紹介する道を選んだのです。

 炭治郎は、今のままでは妹を守れないという現実を思い知らされ、人間に戻す方法を鬼から聞き出すために、鬼を斬る側の人間になる覚悟を決めました。

 炭を売っていた少年が鬼を斬る。

 義勇との実力差を知れば、その目標がとてつもなく高いものであることはわかります。それでも、その目標に対する思いが強ければ、人間は前を向いていけるものです。そして、その思いが目標を達成する可能性を高めてくれることもあります。

 これを、「達成動機」といい、失敗を恐れずに目標に向かって挑戦し続ける強い気持ちの原動力になります。

 壁に跳ね返されたとしても、何度でもあきらめずにチャレンジする。

 今のままでダメだと思ったら、新しいやり方を考える。

 大きな目的や夢をかなえるには、この姿勢が必要不可欠になってくるのです。

<第2回に続く>