強い自分になるための“炭治郎イズム”。壁にぶつかったときこそ前向きに!/『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方⑤

ビジネス

公開日:2020/5/29

マンガ『鬼滅の刃』の炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助が、どんどん強くなれるのはなぜか…。大切な人を守るため、敵を倒すため。思い通りにならないことがあっても、投げ出さずに立ち向かう。『鬼滅の刃』から学べる強い心のつくり方を、印象的なセリフとともにご紹介します!

『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』(井島由佳/アスコム)

積み重ねるたびに、強くなるための新しい課題が生まれる

 人は努力を積み重ねることでどんどん強くなれますが、目標が高ければ高いほど、簡単にはたどり着けません。

 炭治郎も、最終目標の鬼舞辻には簡単にたどり着けませんでした。

 その道のりには、強くなるたびに大きな壁が目の前に立ちはだかるからです。

 最初に倒したザコ鬼。その次に現れた大型の異形の鬼。〝血気術〟という特殊な術を使う異能の鬼。さらに鬼舞辻にその血を直接分けてもらうことのできる上級の鬼。という具合に、乗り越えなければならない壁は、どんどん高くなります。

 鬼舞辻にたどり着くには、まだまだ道のりがあります。

 上級の鬼を倒すと今度は、十二鬼月と呼ばれる、12人の精鋭からなる鬼舞辻直属の側近部隊が立ちふさがります。

 しかも、十二鬼月は一軍にあたる上弦の6人と、二軍にあたる下弦の6人で構成されており、さらにそれぞれ6段階にランク分けされているのです。

 まずは元十二鬼月のハイレベルな鬼が現れ、続いて下弦の鬼、さらには上弦の鬼というように、炭治郎のそれ以上の成長を拒もうとするかのごとく、次から次へとワンランク上の鬼が送り込まれてきます。

 鬼は頸をはねれば死ぬはずなのに、なかには頸を斬っただけでは死なない鬼まで登場します。まるでロールプレイングゲーム。レベルが上がるごとに、新たなエリアに進むたびに、敵を倒すことが難しくなっていくのです。

 それでも、前を向き続けるのが炭治郎とその仲間たち。どんなに苦戦しても、なかなか攻略の糸口を見つけられなくても、決してあきらめません。相手がどんどん強くなっていくことを認めつつ、不利な状況を打開するために、自らを奮い立たせます。

「強くなったと思っても 鬼はまたさらに強く 生身の体は傷を負いボロボロになり でもその度に誰かが助けてくれる 命を繋いでくれる 俺は応えなければ」
(13巻 第113話「赫刀」より)

 鬼舞辻から上弦の肆の階級(上から4番目のランク)を与えられている半天狗との戦いの最中、炭治郎は自分にこう言い聞かせながら、追い詰めても追い詰めても倒すことのできない敵に向かっていきます。

 目の前にある、逃れることのできない現実を、自分を強くしてくれる新たな課題として受け入れることができなければ、そこで立ち止まってしまったことでしょう。炭治郎は、そのことがわかっているから挑んでいけるのです。

 実は、この展開は、私たちのライフステージに非常によく似ています。

 小学生、中学生くらいまでは、他人との競争(戦い)こそあるものの、いたって平和。炭治郎でいうと、家族と暮らしていたときがそんな感じでしょう。

 しかし、高校受験に向けての勉強(鱗滝のもとでの修行)が始まるころから、人生があわただしくなります。

 高校に入ったら(最終選別に合格したら)、一気に勉強の難易度が上がり(戦う鬼が強くなり)、あっという間に次の進路(強い鬼対策)を考えなければならない時期が訪れます。

 進学するにしろ就職するにしろ、次のステージに進めば、また新たな課題が待ち受けています。

 大学に入ったら、単位を取得するためのテスト、卒業するための論文。

 就職したら、仕事を覚えるための研修、資格取得試験、昇進試験、後輩の指導。

 ステージが進むと親や先生、友達だけでなく、付き合う人たちも爆発的に増えていきます。そういう人たちと、うまくコミュニケーションを図ることも求められます。

 生きていくためには、強い自分をつくるためには、クリアしていかねばならないことだらけ。当然、失敗することや挫折することは誰にでもあるでしょう。心底落ち込んでしまうこともあると思います。

 大事なのは、つまずいたときにそれをどうとらえるかです。

「合理情動療法」という心理療法では、悩みや苦しみの深さは、つまずいた出来事そのものではなく、その出来事をどう受け取るかに左右されると示しています。ピンチをそのままピンチと受け取るか、ピンチをチャンスと受け取るかで、その後の行動は大きく変わってくるということです。

 人生山あり谷ありというのは当たり前。

 必要以上に引きずってはいけません。気持ちや受け止め方を切り替えて前を向けば、着実に先に進むことができます。

 課題をひとつクリアしたら、必ず新たな課題が出てくる。

 簡単に解決できる課題などひとつもない。

 三歩進んで二歩下がる。結果的に一歩進んでいれば上に行ける。

 人生とはそういうもの。「壁にぶつかったときこそポジティブシンキング」という炭治郎イズムは、強い自分になるために欠かせない要素といっていいでしょう。

<第6回に続く>