人類共通の先祖といわれるミトコンドリア・イヴって? 現生人類の誕生について/365日でわかる世界史②

文芸・カルチャー

公開日:2020/10/31

学校の授業や受験勉強で頭に詰め込んだ知識ではつかみきれなかった、世界史の全体像が見えてきます。1日1ページずつ読めば教養としての世界史が身につく1冊から、10ページでわかる世界史の大きな流れをご紹介します。

365日でわかる世界史 世界200カ国の歴史を「読む事典」
『365日でわかる世界史 世界200カ国の歴史を「読む事典」』(八幡和郎/清談社Publico)

365日でわかる世界史 世界200カ国の歴史を「読む事典」

通史 10ページでわかる世界史の流れ②
人類共通の先祖ミトコンドリア・イヴ

 近年の科学の進歩は、現生人類の誕生が、世界のあちこちで起きたのでなく、アダムとイヴを思わせるミトコンドリア・イヴという共通の先祖がいることを明らかにした。人類の誕生は数百万年前、アフリカ大陸南部のことといわれる。

 人類の祖先は、各地に散らばってジャワ原人、北京原人、ネアンデルタール人などになったが、彼らは滅んでしまい、アフリカ人を除く現世人類すべてが、5万年ほど前にアフリカ大陸からアラビア半島に移った最大500人ほどの集団に発するものといわれている。

 ただし、最近ではネアンデルタール人のDNAが混血の形で残っている可能性は否定できないという。

 5万年前の出アフリカ集団のリーダーは、アブラハムか「ノアの方舟」の船長のような立場にある。彼らの子孫のうち、北へ向かったグループは、コーカサス地方からヨーロッパに向かってヨーロッパ人となった。

 アフリカからアラビア半島に移った集団の子孫の一部は、インドから東南アジアへ向かい、北上していわゆるモンゴリアンになった。そして、このグループの一部が氷河期にベーリング海峡を渡ってアメリカ原住民の先祖になった。

 中国人や朝鮮半島の人々の先祖は、新モンゴリアンといわれる。氷河期にバイカル湖周辺に閉じ込められて寒さに強い特質を獲得し、南下して中国古代文明を開いた。

 人類最古の文明としてエジプト、メソポタミア、インダス、黄河という四大文明が語られるが、メソポタミアが先行していた。前4200年ごろから灌漑農業が行われ、前3500年ごろからシュメール(イラクの南部)人の都市国家ができ、楔形文字や青銅器を持つ都市文明が栄えた。

 エジプト文明は、外部から遮断されたナイル渓谷の地形のおかげで、前3000年から前2700年くらいに統一王国が成立した。ピラミッド(1項写真)の建設からツタンカーメン王までと、そこからクレオパトラまでは、それぞれ1300年も離れている。

 インダス文明はもっと遅れて前2300年ごろの成立である。黄河文明では、前2000年ごろに夏王朝が成立していたらしく、中国4000年というのはだいたい正しい数字だ。

 

教養への扉 人類誕生の地が具体的にどこかは諸説あるが、ひとつの有力候補は、ナイル川からヴィクトリア湖やマラウイ湖へ続く大地溝帯である。チンパンジーなど類人猿と枝分かれしていなかった動物が住んでいた。気候変動によって、サバンナに移ったものは2本足で立って人類に進化し、ジャングルにとどまったものは類人猿になったという説明はわかりやすいが、あくまでもひとつの仮説だ。

<第3回に続く>